2018年10月16日

【RPAコンサルタントの日常】

~定型プロセスのかたまりを探して~

RPAは魔法の杖ではない

RPAと聞くと、とにかく期待が高まり、魔法の杖のようになんでもできるものと錯覚してしまうが、案外そうではないことをIT部門、業務部門ともに理解しておく必要がある。ありがちなのが、繰り返しの多発する業務であれば、なんでも自動的にできるという錯覚である。間に判断が入るだけで、自動化難度は上がる。RPA適用で特に有効なのは判断プロセスの入らない定型業務である。しかし、一連の流れの中で、まったく判断プロセスの入らない業務は少ないだろう。ではどうするか。

適用業務を選定する際には、繰り返しの量・頻度だけをみるのではなく、その業務の中で判断プロセスと判断プロセスの間にある連続した定型プロセスのかたまりを抽出して、そのプロセス数の多少を見ることが肝心である。詳しくはじめから見ていこう。

自動化検討の流れ

RPAの適用の検討をする際に、まず業務部門からアイデアを受け取る。受け取ったアイデアを一つ一つ、自動化が実現できるのか、どのくらいの効果が期待できるのかを検討する。そして、自動化対象業務を選定し、実証実験を行うのであるが、この自動化対象業務を選定するにあたり、ポイントとしなければならないのは、繰り返しの量・頻度だけではない。どの程度、判断が入らずに業務が定型としてつながっているか、かたまりとして存在しているかどうかも重要である。つながっているかどうか判断するためには、業務フローを描くとわかりやすい。ただし、RPAだからといって「フィールドにカーソルを合わせて入力する」といった細かい粒度のフローを描く必要はない。細かい粒度のものを描いても、その業務が自動化対象外かもしれず、手間になるからである。「システム情報登録」「Aさんにメール送付」といった粒度で描くのがよい。

定型業務のつながりをかたまりとしてみてみる

こうして描いたフローを眺めて、定型業務のつながりをかたまりとして見る。逆を言えば、判断が必要な業務をピックアップし、その判断プロセスによって定型業務が断絶されたとみる。一つの断絶から次の断絶まで距離が長ければ、すなわちプロセス数が多ければ、それは自動化対象業務として有力候補となる。

反対に、距離が短い、すなわち間のプロセス数がすくなければ、自動化候補としての優先度を下げるべきである。間のプロセス数の多いものに比べ、自動化効果が低い場合が多い。複数人で同一の作業をしているのなら別であるが、自動的に処理するプロセス数が単純に少ないため、期待できる効果も少ないと判別できる。

このように、自動化対象業務を選定する際には、簡単な業務フローを描いて、判断の入らない定型業務のつながりをかたまりとして捉え、そのかたまりに含まれる定型プロセス数の多少をみて決定すると良い。先にも書いたが、判断の入らない業務は少ない。しかも判断プロセスが入ると自動化難度が高くなる。であれば判断プロセスの入っていない一定数の定型のプロセスを探したほうが生産的であろう。

2018年10月