2019年5月20日

【RPAコンサルタントの日常】

~ITモダナイゼーションとデジタルトランスフォーメーション~

昨今流行の、ITモダナイゼーションと前回コラム(20190325)に書いたデジタルトランスフォーメーション(以下DX)は、似て非なるものである。

ITモダナイゼーションおよびDXとは

ITモダナイゼーションとは、IT用語辞典によれば、「企業の情報システムで稼働しているソフトウェアやハードウェアなどを、稼働中の資産を活かしながら最新の製品や設計で置換えること。」

DXは、IDC Japan株式会社の定義によれば、「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら。第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること。」とある。

つまりは、ITモダナイゼーションはシステムの刷新で、DXはITを用いた企業の変革である。

ITモダナイゼーションとDXを混同してはいけない

ITモダナイゼーションとDX、意味で混同せずとも、実際に何をするのかで混同しがちである。要因には、経済産業省の「DX推進ガイドライン」他、「2025年の崖」など、一連のレポートにあるのではないかと考える。すなわち、DXの課題は「レガシシステムの刷新」と書かれていることがITモダナイゼーションとやるべきことを混同してしまう要因の一つであろう。

確かに、レガシシステムの維持に大きなリソースをかけていれば、DXにかけるリソースが少なくなり、結果DXがなされにくい(前回コラム20190325)にも興味深いと書いた)。しかし、DXのガイドラインやそれに準じた資料である以上、それ以降のことが書かれていなければならないと感じる。それは、「レガシシステムの刷新後のDXのやり方」である。前回書いたことと重複するが、企業の競争領域を定め、そこを変革するためにリソースを大きく投入する。そういったやり方のガイドが詳細に書かれているべきである。ここが薄いがゆえに、DXとITモダナイゼーションとでやるべきことが同じに思えてしまうのである。

ITモダナイゼーションとDXでは話の階層が異なる。経営戦略の手段がDXであれば、DXの手段としてITモダナイゼーションがある。ITモダナイゼーションを軽んじるわけではないが、混同せずに考えていきたい。

2019年5月