2021年3月1日

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません

~そろそろIPv6と真面目に取り組まねば~


最近は企業のオフィスでも個人宅でもPCその他で構成するネットワークが存在する場合、そのネットワークがインターネットに常時接続していることは電気ガス水道などと同様にあたり前のインフラになっています。1990年代前半からインターネット接続が徐々に普及して現在に至るわけですが、普及が始まった当初から接続プロトコルはInternet Protocol version4、通常はIPv4と呼ばれる仕組みが基本になっています。90年代後半から後継規格であるIPv6が発表され、徐々に対応するシステムも増加し、最近ではパソコンやスマートフォンその他ネットワークに接続可能な機器のOSでIPv6に対応していないものは特殊な用途に限定された機器ぐらいです。

IPv4アドレスが将来的に枯渇することを見通してより巨大なアドレス空間を利用可能にすることがIPv6策定の大きな理由でしたが、オフィスにせよ自宅にせよ、閉じたネットワーク内では内部に設置する機器数の規模はたかが知れています。IPv6に無理に移行する手間をかけなくても、IPv4でプライベートネットワークとして問題なく運用可能です。また、閉じたネットワーク内ではIPv6が提供する巨大なアドレス空間のメリットを直接受けられるわけでもなく、積極的にIPv6を導入するメリットを感じることはほぼないと言って間違いない状況が続いてきました。こういった状況を踏まえて、ネットワーク機器やOSもIPv6に対応はしたものの、必要な場合に追加・有効化可能といった位置づけから初期状態で有効になるまでには時間がかかりました。(現在リリースされているWindowsやmacOS、iOSなどはデフォルトで有効になっているはずです)

OSレベルでは初期状態で有効になってものの、その機器が設置されるネットワークはすでに何年もIPv6なして構築・運用されているものが多いため、思わぬところでつまずくことがあります。例えば、Windowsマシンを購入してWindowsのドメインネットワークに追加する際に、追加したいクライアントPCはIPv6でネットワーク内のドメインコントローラーを探すのにドメインコントローラー側でIPv6が無効になっているとサーバーが見つからず失敗したり、何かWebサイトのページを開こうとしてリンクをクリックしたところ、IPv6で名前解決に失敗してインターネット上に存在するWebサイトを見つけられずにエラーになるなどのトラブルに見舞われます。

AppleがiOSのアプリに関してIPv6サポート必須としたのが2016年です。このあたりからインターネットで何らかのサービスを提供する際にスマートフォンからのアクセスを意識するとIPv6対応は不可欠といってもよいフェーズに移行いしたと考えてよいでしょう。しかし、iOSその他スマートフォンを使っているときにその通信がIPv4とIPv6のどちらかで行われているのかを意識することはほぼ皆無でしょうし、一般の利用者がどちらで通信しているかを簡単に確認する方法もありません。このようにスマートフォンを利用する分には意識せずとも利用可能ですが、PCを利用する場合はそのPCや接続しているLANの状態次第ではIPv6が完全に無効になっている場合もあれば、PC側で有効でもネットワーク側の対応次第で状況が異なってきます。

自分自身も長いことIPv4のみでこと足りることがほとんどで、IPv6を意識しなくても大きな問題に直面することは少なかったのですが、思わぬところでIPv6に引っかかることが増えているので、かつてIPv4で構成するネットワークについて学び始めたころの自分を思い出して調べ直しを始めています。

2021年3月