2016年12月19日

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】

~パソコンなどの処分(ディスクの完全消去)~

前回(2016/10/31)はPCや処分方法についてでしたが、その中で処分する機器に内蔵されたハードディスクのデータ消去について触れました。ハードディスクは物理的な破砕処理でもしない限り、磁気的な記録が残されているため内容にかかわらず記録内容を読み取ることは不可能ではありません。信用できる業者さんに頼めば依頼者側からことさらに頼まなくても処分の過程で内蔵ハードディスクの内容はきちんと消去するでしょうが、引き渡してしまった以降、具体的にどのような取り扱いがなされるかは、引取後の運送経路から最後の処分工程まで付きっきりで監視しない限りはブラックボックスです。処理を証明するマニフェストが発行されたとしても、書面が交付されるだけで、そこに記された内容が正当に作成されたのだと信用して受け取らざるを得ません。

このように疑い始めるときりがないため、それならいっそ廃棄に回す前に自分達の手でデータを完全に消去してしまえば安心できるということで、ディスク消去用のツールが有償無償を問わず入手可能です。今回はこういったツールを紹介してみます。

富士通やNEC、レノボなどのPCメーカーが自社製品に添付するツールやWEBサイトで案内する方法、配布するツールが利用できる場合があるので、製品に添付されていたマニュアルやメーカーのWEBサイトを確認してみてください。また、一般社団法人パソコン3R推進協会のWEBサイトでは加盟各社ごとにデータ消去プログラムなどの情報が公開されています。

http://www.pc3r.jp/common/dataerase_program.html

こういったメーカー推奨の方法以外にも、Amazonで「ハードディスク 消去」をPCソフトのジャンルで検索してみると60件ほどの商品がヒットするだけのニーズがあり、フリーでも定番とでも言えそうなソフトウェアを入手可能です。一例をあげると、wipe-put(http://www.wheel.gr.jp/~dai/software/wipe-out/ )やDESTROY(http://www.vector.co.jp/soft/dos/util/se196626.html)などがフリーソフトとして公開されています。これらはソフトウェアをダウンロードし、PCを起動可能なCD-ROMやUSBメモリを作ることで利用ことができます。

内蔵ハードディスクを取り出してUSB接続キットでPCに接続して外付けドライブとして処理するのであれば、Windowsのcryptoコマンドやdiskpartコマンド、フリーで利用可能なCCleaner(http://www.piriform.com)なども利用可能です。ディスク完全消去に限らず、PCやサーバの運用管理を担当しているのであれば、ディスクの消去以外にも様々なツールが収録されたUltimate Boot CD (http://www.ultimatebootcd.com/ )やUbuntuなどLinuxのLive CDを一枚用意しておくといざという時のツール集としてお勧めです。

これらのツールが行うことは、実はどれも同じようなもので、対象となるハードディスク上に延々と1や0などを書き込み、それを指定した回数繰り返すという方法ですが、何種類かの標準が公開されており、実行時のオプションでこれらの標準に準拠して書込み内容や書込み回数を選択します。信頼性を高めたいのであれば、まずは書込み回数を多くするに越したことはありませんが、所要時間も書込み回数に応じて増えていき、数百ギガバイトからテラバイトクラスのディスクの場合、指定するオプション次第では1日以上かかる場合もあり、加えてRAID構成ならディスク枚数分繰り返すことになり、処分日程にはこの所要時間・日数を見込んでおく必要があります。

2016年12月