2020年11月2日

【失敗しないシステム導入】

~情報システム部門が最低限実施すべきこととは?~


ユーザとベンダ間に立ち、ユーザの要件をベンダに伝え、ベンダからの回答をユーザに伝えるのが情報システム部門のひとつの役割です。情報システム部門のメンバが多忙、直接やり取りした方が情報が正確に伝わるなどの理由で、直接ユーザとベンダがやり取りし始め、情報システム部門は議論の内容に関与しなくなり、会議設定などの事務局と化している例を見かけます。

これは全く正しくない形で、常にユーザとベンダの間に立ち、議論の内容に関与することが、情報システム部門が最低限実施することだと考えます。仮に情報システム部門が議論の内容に関与しなくなると何が起こるでしょうか?

第一に全体最適を意識したシステムにならなくなってしまいます。ユーザは自分の担当している業務範囲の視点で要件を出し、ベンダはそのままシステム化します。その結果、個別最適の集合のようなシステムができあがります。業務を横断した全体最適の視点がないので、システム機能の重複、漏れが発生し、コスト高のシステムになってしまいます。情報システム部門としては全体最適の視点を持ち、ユーザの要件を整理しなくてはなりません。

第二にシステム仕様がベンダ側でブラックホール化してしまいます。ユーザ側は人事異動で人が入れ替わります。ベンダ側は保守メンバが変わらない(ことが多い)ので、システム仕様を理解しているのはベンダ側だけということが起こり得ます。こうなるとシステム再構築の際にベンダを入れ替えることが難しくなります。いわゆるベンダロックイン状態となり、割高なシステムとなります。情報システム部門としてはシステム仕様をきちんと把握していなければなりません。

ユーザとベンダの間に立って、議論の内容に関与していくのは時間、スキルの面で難しいと感じる方も多いでしょう。時間が足りないということであれば人数を増やさなくてはなりません。スキルが足りないのであれば、そのスキルを持った要員を調達すべきです。ネットワークの話はわからないのでベンダに丸投げ、B2Bのシステムの経験はあるが、B2Cのシステムはよくわからないのでベンダに丸投げ、などよく聞く話です。

最低限のことができていないという認識を持って適切に人員を補充していかないと、前述のように結果的に高くついてしまいます。ユーザとベンダの間に立って、議論に内容に関与できるかどうかは、最低限のことができているかのバロメーターになります。

2020年11月