2017年7月24日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~システム企画の実際(システム企画で困難に遭遇した場合③)~

前々回(2017/4/10)と前回(2017/6/5)で「システム企画で困難に遭遇した場合」について記しました。

あることを困難と感じるのは、対象の理解や処理を行う際に、自分の理解能力と処理能力の限界を超えた時です。対象が自分の理解能力や処理能力の範囲内にある場合とそうでない場合とでは、生産性が大きく異なり、能力の限界を超える程度が大きければ大きいほど困難を強く感じると考えられます。見当もつかない場合には、途方に暮れることもあるでしょう。

この困難を軽減するためには、情報・知識・経験の獲得が必要です。対象を理解したり、処理したりできるようにするためには、知ること、経験することが必要です。システム企画が難しいと感じられるとすれば、それ自身が本質的に難しいということがあるかもしれませんが、それに関する情報・知識・経験が不足していることもその理由であると考えられます。

近年、情報システム部門に求められている役割はが、戦略寄り、企画寄りになってきていること、そしてそれを担う人材が不足していると言われています。恐らく最初は、企画分野に限らず、開発人材、運用保守人材もいなかったり、不足していたりしていたと思われます。しかし、ITの活用が始まり、普及していく過程において、企画よりも開発や運用保守を担う人材が早く育っていったということはあります。IT活用の目的の多くが定型的な作業の自動化であった頃には、現在と比べて、

・ 企画対象の複雑性が低かった

・ 開発や運用保守のツール、環境が整っていなかった

ことから、企画よりも開発や運用保守に対する作業要請が強かったため、その活動に多くの担当者が充てられ、その活動を通じて知識や経験が積み重ねられ、人材が育っていったと考えられます。

すなわち、以前も企画は行われていたが、現在ほどシステム導入の機会が多くなかったため、その場面が少なかった、さらに以前は現在よりもIT適用対象の規模が小さかったり、複雑性が低かったりして、担当者の理解能力や処理能力の範囲内にあるか、範囲外に出たとしてもその程度が小さかったと考えられます。ところが、近年では、競争環境の激化、情報量とその流通速度の増大、技術進歩の速度の増大傾向が高まるにつれ、IT活用の目的の中心が、自動化から価値創造に移行していくなどして、規模や複雑性の点で難易度が上がってきているとみられます。

当社の歴史を振り返っても、以前は運用保守の支援・コンサルティング業務が中心の時代がありましたが、それが調達になり、調達で用いる提案依頼書(RFP)における主旨の重要性が強調され、企画の要素が入ったり、企画そのものを行ったりすることが増えてきています。

2017年7月