2016年3月14日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~システム企画の手順と方法(指標と目標値の設定②)~

前回(2016/2/1)、システム企画で掲げる「狙いとする効果」の測定指標の設定についての考え方を述べ、その例として「SMART」を紹介しました。指標についてさらに、以下について考えていきます。

1.指標の有効性と妥当性

2.目標値の設定

1.指標の有効性と妥当性

指標の設定は、戦略マップ上に存在する複数のCSF(重要成功要因)のうち、1つ以上のCSFを選択して行います。このとき、指標を有効かつ妥当なものとするために注意すべき点は以下のとおりです。

(1)指標→CSFの因果関係がMECE(モレなくダブりなく)に成立していること

これは「1つのCSFに対する指標の数は少なければ少ないほどよいが、設定した指標の測定値が良化するとCSFの満足につながることが論理的に成立していなければならない」ということです。

設定した指標の測定値が良化してもCSFの満足度が保証されない(現実には指標は見直されることがあるため「確からしさが足りない」)と、その指標が測定値を良化させる活動を行ってもCSFが満たされない、またはCSFが満たされてもそれがその活動の成果であるか否かがわからない、こととなります。

前々回(2015/12/14)に例として紹介した格安航空会社では、CSF「地上での迅速な折り返し」に対しての、2つの指標「地上滞在時間:30分以下」、「定刻出発率:90%」を設定していました。指標を2つ設定しているのは、着陸から次の離陸までの時間が30分未満であるケースが多いと、「地上滞在時間:30分以下」だけでは顧客満足度に直接つながる「定刻出発」に対する効果を測定しきれない、しかし指標「定刻出発率:90%」だけだと、定刻までの時間が多い場合が続く飛行場では作業効率が上がらない(それは次の作業の余裕を少なくし、不測の事態への対応力を低下させる)こととなってしまうからです。

(2)指標同士が論理的に矛盾しないこと

①CSF - KGI - KPIがあるとき、KPIの測定値の良化がKGIの測定値の良化につながる

②あるCSFのKGIの良化が、そのCSFから発する矢印の到着点であるCSFのKGIの良化につながる

(CSF:重要成功要因 / KGI:結果指標 / KPI:活動指標)

戦略マップとBSCには、縦横の2次元でCSF、KGI、KPIが配されますが、以下の2つの関係が、矛盾なく成立していることが必要です。

①でKPIの測定値の良化→KGIの測定値の良化→CSFの満足という横の関係

②で業務プロセス層のCSFの満足→顧客層のCSFの満足という縦の関係

下層(例:業務プロセス)のCSFが、その指標の測定値の向上により満たされることが、上層(例:顧客層)のCSFの満足度につながらなければ最終的な目標に達することができません。これを確かめるには、戦略マップ上のCSFをKGIやKPIに置き換えた指標レベルの戦略マップを作成し、指標間の相互関係を検証してみることが有効です。