2018年10月2日

【コンサルタント散歩】

~エビデンス作成の大切さ~

各テスト工程では、テストを実施した結果が正しいかどうかテスト仕様書と設計書を見ながら検証します。テスト実施担当者は検証した結果としてエビデンスの作成を行います。このエビデンスの作成にはとても時間がかかります。スケジュールを守るためにとりあえずテスト仕様書に記載されている結果に印を付けるだけのエビデンスにしたくなるのではないでしょうか。しかし、エビデンスの作成はテスト工程においてとても大切なことです。バッチ関連のテストであれば、データベースの情報を抽出してエビデンスとするし、オンライン関連のテストであれば、画面のハードコピーや要所でのデータベースの情報を抽出してエビデンスとする等が挙げられます。

エビデンスは作成して終わりではなく、レビューア、ユーザが後の開発工程・本番稼働時等に障害が発生した際に確認する場合があります。エビデンスは時間が経過しても誰が見ても分かるように作成しておかなければなりません。その一つとしてエビデンスの体裁をチームやプロジェクト単位に決め、整えておく必要があります。特にレビューアやユーザは大量のエビデンスを確認しなければならないため、各テスト担当者によってエビデンスの作成方法が違うと確認するのに労力が必要で、またバグの見落としが起こりやすくなってしまいます。プログラムにコーディング規約があるようにエビデンスにもある程度の決め事は作っておいた方が後々楽になります。

また、エビデンスの作成の際は、何故その結果となったのか検証した流れが分かるように作成します。テストの実施結果だけの貼り付けだけでなく、テストデータのインプットがどのような状態で、結果としてアウトプットがどのようになったのかをエビデンスとして残すようにします。結合テスト以降であればブラックボックステストになるため、途中の機能でどういった処理が行われて結果としてこうなったということもエビデンスとして残しておくとさらに良いです。当たり前ですが、テスト仕様書のテストケースと対象テスト結果のエビデンスはパッと見た状態で紐づいているか分かるようになっていることも忘れてはいけません。

最後になりますが、テスト担当者は何故このようなエビデンスを作成したのかレビューアやユーザに説明できるようにしておくことが重要です。エビデンスの作成の仕方と残し方でテスト担当者がテストケースを理解して実施しているかが分かるので、皆さんもエビデンスを作成する際は、大変ですが手を抜かずにしっかりと作成しましょう。

2018年10月

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