2015年5月18日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~システム企画の手順と方法(文書作成④)~

前回(2015/3/30)に続いて、システム企画の目的として挙げた3項目のうちの第3点「調達フェーズへの橋渡し」に関し、今回は「提案依頼を行った者が、受領した提案書の評価を行いやすい」について記します。

提案書の評価は、言うまでもなく最終的にシステム構築を依頼するベンダー選定において非常に大きなウェイトを占める要素です。ここで選定したベンダーとは、契約の後、システム本稼動に向けて、相当の期間の共同作業を行っていくこととなります。システム企画で企図した内容を実現してくれることと、共同作業の相手として信頼できることを満たす最適なパートナーを選びましょう。

提案書の評価を行いやすくするためには、いくつかのポイントがあります。

(1)評価方法の決定時期

これは、提案書受領前に評価方法(評価項目と重みづけ、評価体制、選定までのスケジュール)を決めておくのがお奨めです。これが重要である理由は2つあります。

●提案書受領から選定までの時間は多くないため

システム企画フェーズにおいて、スケジュールを「そのシステムが経営・業務の要請上、必要となる時期を期限として作成」し、そのうえで、調達と開発にそれぞれどれくらいの期間を割り当てるかを計画しました。この計画にしたがって、提案書受領後、すみやかに評価・選定を行う必要がありますが、提案書を受け取る前に評価方法を検討しておくことで、時間をセーブすることができます。

●より公正な評価を行うため

評価方法の決定、特に「評価項目と重みづけ」は、何をもってベンダーを選ぶかに直結します。オープン調達を行う目的は、複数の選択肢を得て、その中から「決め打ち」ではなく、最適なベンダーを選択することです。提案書を受け取り、その内容を見てから「評価項目と重みづけ」を決めようとすると、既に見てしまった情報に影響される可能性が高くなります。したがって、提案書受領前にこれを行っておくのが得策です。

(2)評価者の決定

「何を評価するか」とともに「誰が評価するか」がシステム企画の内容の実現のために重要であり、また、事後の評価・改善にも関係するところとなります。システム企画で「この企画を実施しよう」という判断を諮る相手として挙げた「意思決定者」、「変更関係者」の中から、個人を特定して評価者を決めておきます。

(3)提案書の目次の指定

これはやや細かい、テクニック的なことになりますが、評価作業の負荷軽減に役立ちます。提案書を読み、その内容を理解して評価する作業には大きな負荷がかかるものです。提案依頼書(RFP)の中で提案書の構成・目次を指定しておくことで、受け取った各提案書の「あっちを見たり、こっちを見たり」する手間を軽減することができます。

2015年5月

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※ 過去の片山大のコラム 【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】はこちらからご覧いただけます。