2018年11月6日

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】

~マイクロソフト製品のライセンス~

ここのところ書いていたテーマとはガラッと変わってソフトウェア製品を企業で購入する場合のライセンスについて考えてみたいと思います。マイクロソフトのソフトウェア製品はおおまかに分けて、サーバ機とクライアント機にインストールするオペレーティングシステムとSQLやExchangeなどの各種サーバ製品とOffice製品の各領域に分類されます。それぞれ、単品パッケージとしても購入することもあればOffice365のようにライセンス契約を行って必要に応じてインストールするなどいくつかの方法で購入が可能です。

日本国内でPCを購入する場合、PCメーカーはWindows10などのクライアントOSはPCにインストール済みで、そのPC本体に紐づいているOEM版という形態で供給することをベースとしているところが多く、その場合PC本体にプロダクトキーが記載されたシールが貼りつけられています。この場合、PCと一緒に購入したWindowsはPC本体に固定的に紐づけられていて、シールに貼り付けられたプロダクトキーを使って別のPCにインストールすることはライセンス上許されていません。インストール先のハードウェアに紐づけられない状態でライセンスを保有したいのであれば、パッケージ版とかDSP版というPC本体とは別に独立したライセンスで購入しておく必要があります。(DSP版はパーツに紐づく形なので別のPCにインストールする場合はそのパーツもその別のPCに取り付ける必要があります)

Microsoft Officeも同じようなライセンスの種類があり、PCにプリインストールされている場合はそのPCからアンインストールして別のPCにインストールすることはライセンス違反となります。Office365のリリース移行、OEM版やパッケージ版でライセンスを購入してもインストールメディアはPCに付属せずプロダクトキーが印刷された紙パッケージが一緒に送られてくるだけになりました。プリインストールされている場合はとりあえずPCのセットアップを行えば、プロダクトキーが埋め込まれているのでOfficeの各アプリケーションをそのまま使用することが可能になりますが、インストールメディアが付属していないため、何らかの理由で再インストールが必要になった場合は、マイクロソフトからインストーラーをダウンロードして実行しないと再インストールできない仕組みになりました。ここで厄介なのが、ダウウンロードするにためにはマイクロソフトアカウントでサインインしなければならないということです。

Office365の法人契約であれば各ユーザーにマクロソフトアカウントを管理者側が一括して割り当てられるのでそのアカウントでサインインすればよいのですが、そうでない場合はどのマイクロソフトアカウントを使用すべきかが問題になります。エンドユーザーがすでに保有しているマイクロソフトアカウントがあったとしてもそれがプライベートで利用しているものなのか、組織内ユーザーとして組織で管理されているものなのかを注意しなければなりません。プライベートのアカウントをプロダクトキーに紐づけてしまうと、そのユーザーが退職してしまうと組織が保有しているPCにインストールされているOfficeを何らかの理由で再インストールが必要になった時ダウンロードし直すことができなくなる可能性があります。また、時間が経ってから再インストールが必要になった時にどのアカウントに紐づいているかが不明で再インストールに手間取ることもあり得ます。このような混乱を避けるには、OfficeにしてもWindowsにしてもこのようなPCバンドルではなく、Office365の法人契約かOffice2016パッケージをボリュームライセンスで購入する、Windowsであればソフトウェアアシュアランスなど、組織側でライセンスを一括で管理できる形態に切り替えることをお勧めします。

2018年11月