2016年7月25日

【失敗しないシステム導入】

~ユーザテストを開始する前に実施すべきことは?~

システム開発における発注者側の重要タスクのひとつにユーザテストがあります。ユーザテストの遅延はカットオーバー延期に直結します。発注者側で責任を持って、進捗を管理していく必要があります。

ユーザテストの遅延というのは、ユーザテストのシナリオ・テスト項目を予定どおりに消化できないことを指します。原因としては、システムの品質が低く不具合ばかりであったということもあれば、ベンダ側のテスト環境では問題なく動いていたが、ユーザ側のテスト環境では動かなかったということもあります。ユーザテストのためにせっかく多くのユーザに集まってもらってもシステムが動かないのでは、ユーザテストの進捗が遅れるだけでなく、ユーザの士気にも影響します。初日は不具合対応でユーザが全く何もできなかったという話を聞いたことがあります。

これを防ぐためにはどうすれば良いでしょうか?先行ユーザテストを実施することをお勧めします。先行ユーザテストとは、ユーザテストを実施する前に情報システム部門が実施するテストのことを指します。期間はシステム規模にもよりますが、一週間程度であることが多いです。最も標準的な業務プロセス(ストレートパスなどと呼んだりします)をユーザテスト環境で一通りテストしてみます。例えば、受注→出荷→売上→請求→入金という感じです。ユーザテストを実施するための最低限の機能が完成していること、テスト環境でも問題なく動くことを確認します。これにより、ユーザテストのシナリオ・テスト項目を予定どおりに消化できず遅延してしまうことを防ぎます。

先行ユーザテストの結果がOKであれば、そのままユーザテストに進みます。NGであればユーザテストには進まず、ベンダ側の開発・テスト工程に戻ります。もの場合、ユーザテストの開始が遅れ、カットオーバーも遅れてしまいます。先行ユーザテストを実施すること、先行ユーザテストの内容、結果がNGであればベンダ側の責任としてユーザテストの開始を遅らせることを事前にベンダと合意しておく必要があります。

ユーザテスト開始時点でシステム品質をチェックすることで、ベンダに良い緊張感を持たせることができます。ユーザテストにこぎつけて、ユーザテストの中で品質を上げて行けば良いというような考えを排除することができます。

つまり、先行ユーザテストを実施することで、品質の高い、動くシステムでユーザテストを実施できるようになるのです。

2016年7月