2020年1月7日

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】

~サポートにメールを使うのは考えもの~


先日、「使用しているNASから、何だかわからないがアラーム音らしい音が鳴り続けている」という連絡を受けてのメーカーのサポートとの対応の中で「それでいいのか?」と感じたことがありました。

問題が発生したのはWindows Storage Serverを搭載のNAS製品で、警告音とミラーリング構成のハードディスク障害が発生しているので交換しろという意味のエラーメッセージが表示されていました。管理コンソールで確認し、ミラー構成のハードディスクの片方で障害発生を確認できたので、メーカーのテクニカルサポート窓口に連絡を取って対応を相談しました。メーカーによってはここからログを採取して送れとか、何か特別の操作をせよなどとワンステップの作業を要求してきて、それでも改善がないかの確認をしなければ次に進んでくれない場合もありますが、今回は状況説明を聞いて即座に交換用ハードディスクの発送手配をしてくれました。とりあえずはエラーの内容はわかったので、警告音が鳴らないようにセットしてパーツの到着を待つだけとなりました。

ミラーの片側に異常があるだけでNASとしての動作自体は速度低下も起きていないし、毎晩のバックアップも正常に動作しているので、この段階では不具合の起きているディスクのパーツを交換してリビルドすれば済むため、ダウンタイムは最小限で復旧できそうと考えていました。交換パーツが到着したので、あらためて訪問して作業を開始したところ、添付の手順書にWindows Updateを最新にしてから交換せよとあり、未適用のアップデートを適用して再起動したところ、またも警告音が鳴り始めました。確認してみると、もう1つのハードディスクも異常発生で両方とも交換しろと本体にも管理コンソールにもメッセージが表示されています。そもそもミラーリング構成の2枚とも異常な状態でWindows Serverのディスクマネージャーやイベントログを確認してもWindowsのレベルでは不具合を検知していないため、再びメーカーのサポートに連絡して状況を説明しました。サポート窓口の担当者もハードウェアレベルとOSレベルの状態が噛み合っていない原因を確認したいので、イベントログとメーカーがインストールしている管理ツールのログの提供を求められました。あわせて、もう1本のハードディスクについても代替品を手配して送ってもらうことになり、NASの稼働自体は安定しているのでこの日もひとまず引き取りました。

2本目が到着したので再訪問しましたが、ミラーリング構成ですから2本同時に入れ替えたらOSから再インストールになってしまうし、片方だけ交換してリビルドをかけても正常に復帰する確証もないので、対応方法について相談するためサポートに連絡を入れました。そうすると、2本目が到着する以前にメールでログの解析結果から対応方法がわかったので手順を記したメールを送っているはずだが届いていないかと返答がありました。着信したメールボックスを確認しても当該するメールが見当たらないと伝えると、exeファイルを添付したメールなので、迷惑メールのフィルターに引っかかってしまったのではないかということで確認したところそこにも見当たりません。そもそも今どきexe形式の実行ファイルをそのまま添付すること自体、IT業界で飯を食っているメーカーのやり方として変ではないかと返したところ、メール転送のどこかでリジェクトされているかもしれないので、拡張子を変えて送り直しますと回答がありました。

メールサーバのフィルタログを確認したところ、exeファイルを添付しているメールなので、セキュリティ上問題ありとして転送を拒否したとエラーメールで送り返していることが確認できました。「メールが届いていませんか?」とこちらの確認ミスのような対応でしたが、自分のところにメールサーバからセキュリティ上転送不可とリジェクトが返っていることも確認しないというのは、どのような態勢を取っているのだろうと不安になりました。その後しばらく待ってもメールが来ないので、メールサーバのログを確認すると、exeをex_に書き換えただけなので、やはりフィルターが検知してリジェクトしていることがわかりました。

当社で利用しているメールサーバのフィルターの場合、せめて暗号化をかけた圧縮ファイルにでもしないと実行形式のファイルは拡張子を変えたくらいでは検知できてしまいます。最近ではG SuiteやExchange Onlineなどのクラウドベンダーのサービスが法人向けのメールサーバとしてかなりシェアを延ばしているので、実行形式のファイル添付は結構な頻度で転送拒否になるし、そもそもこれらがメールサーバの場合は送信メールの添付ができないので、この手のファイルを添付したい場合は、Google DriveやOne Drive、その他のクラウドストレージを経由させることも一般化していると思っていたので、今回の対応は理解に苦しみます。そもそもこのメーカーのサポートにログなどを送る際に使用するサポートWebサイト上のメールフォームでは添付ファイルの上限が2MBまでに制限されているため、こちら側で利用可能なクラウドストレージに保存し、そのリンクを送って欲しいと要求されていて、素直に従って対応していたので余計に不愉快になりました。最近はサポートとのやりとりでチャットを使えるメーカーも増えていますが、タイムラグなしで行えるし、ファイル転送もその場で可能と柔軟なのでファイルを添付することが想定される場合は、こういった方法を検討してもらいたいものです。

年末ぎりぎりに起きた事件のため今だ解決に至っていませんが、このNASは年を越しても機器がディスク不良と警告を出す以外は正常に動作しています。

2020年1月