2018年4月9日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~コンサルタントを使うか否かの検討②~

前回(2018/02/13)の最後にあった以下の部分について考えを進めてみます。

ある仕事を社外のコンサルタントに依頼するかどうかは、意思決定や行動に応じて生ずる代償の大きさを、自社だけで行う時とコンサルタントを使って行う時とについて見積って比較することが、一つの方法となります。これは、成果(期間の終了時に獲得される状態と成果物)と、それを獲得するために失うものとの比較になります。(下記はいずれも成功して成果を得られたと仮定して要素を挙げています)

自社で行う場合(コンサルタントを使わない場合)

◎得るもの

「自社内・独力で行った経験と自信」 「自社内・独力で活用したノウハウ」

◎失うもの

「担当者が期間内に使う時間」 「その要員が、その時間を使って別の仕事を行った場合に得られると考えられる成果」

コンサルタントを使った場合

◎得るもの

「社外の専門家との共同作業の経験」 「コンサルタントと共に活用したノウハウ」 「同種・同分野の問題解決事例の情報」

「時間(問題解決が早まって次の活動をより速く始められる)」

◎失うもの

「コンサルティング費用」

自社で行う場合の費用を、投入要員の時間単価と投入時間を使って費用換算すると、

投入する要員の時間単価 × かかる時間

かかる時間の求め方は以下のようになると考えます。

分子 = 仕事量 = その仕事に含まれる作業の数 × 仕事の難易度

分母 = スキル量 × 時間投入率 × エネルギー投入率

ここで注意が必要なのは、作業の難易度=その仕事を行うために必要なスキルレベル です。その作業を行うために必要なスキルレベルに達していない者が、いくら時間をかけてもその仕事は終わりません。途中で成長して必要なレベルのスキルを獲得することはありますが、その分、時間が余計にかかります。その仕事で成果を挙げるためには、それが可能であるスキルレベルの要員を充てなければなりません。しかし、実際には、その時期に最も費用効果の高い要員の時間が空いておらず、その者を充てられないということがあります。

もう一つ、重要な要素となるのは、分母の最後にある「エネルギー投入率」です。成果を挙げるために必要な要素を考えることは、リスク回避の観点からも必要なことですが、式に数値を代入して行動を決定するのは現実的ではないと考えます。もっともらしいところに近づくことがあるかもしれませんが、そこに近づけるためにも時間とエネルギーがかかり、答えを得る頃には疲れていたり、状況が変化してしまっていたりするおそれがあります。

時間制限内に解を得たとしても、解の精度と魅力とは比例するとは限りません。「経営革命大全」(ジョセフ・H・ボイエット&ジミー・T・ボイエット、1999年、日本経済新聞社)には、経営戦略策定の方法と事例が多く紹介されていますが、その中で「理論によって論理的に導きだした戦略には、どこか魅力がない」ということが言われています。正確な解を持っていて疲れている者より、(後退またはその場で旋回して疲れるほどに不正確でなければ)持っている解の精度が低くても、元気な者、動ける者の方が強いと言えます。

2018年4月