2015年7月13日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~ITは金食い虫か?IT嫌いの社長が一番食われてしまう恐ろしさ~

コンサルタントを商売としていると色々なタイプの社長にお会いします。

中には「私はITが大嫌いなんだよね」とおっしゃる社長も、しばしばおられます。10年以上前はIT嫌いという社長は今よりずっと多かったのですが、さすがに時代の流れで、最近はIT嫌いの社長はぐっと少なくなってきた印象です。

IT嫌い理由はいくつかあるようです。社長自身の性格や嗜好に合わないといった個人的な理由の場合もあります。そして、個人ではなく経営者の立場からみて嫌いだ、という理由として挙げられるのが

“ ITは金食い虫だ ” ということです。

自社の商売で節約や改善を重ねて10円、100円の単位で利益を出す工夫をしているのに、ITはドーンと100万円、1000万円の単位で見積もりが出てくる。数年に一度のシステム構築時ならまだしも、保守費用や維持管理コストと称して毎月毎年かなりの額のランニングコストが発生する。なるべく最小限の費用しか払わないようにしているが、それでも高い。そして保守対象外ということで追加の費用が大きく請求されることも少なくない。いったいどうなっているのか?といった感じの意見が多いです。

これはその社長がITを投資対効果という視点で見ることができず、コストとだけしか認識できてないことが最大の問題です。単なるコストとしてみればたしかにITほど高いものは無いかもしれません。しかし、それではIT無しに業務ができるかというと、もはや多くの企業でそれは不可能です。つまり、ITには大きな効果もあるのです。

また保守料金や維持管理費用を最小限に抑えることは悪いことではありませんが、単に高い安いといった価格の問題以前に、社長がきちんと考えなくてはならないことがあります。それはシステムが停止したときに、どれだけ業務に影響がでるかを大づかみでも把握することです。3~4時間、あるいは最悪1日システムが止まっても、経営や営業上なんとかなるのであれば、最小限の保守費用でよいでしょう。逆に短時間のシステム停止でも自社業務や顧客に多大な迷惑をかけてしまうような場合は、トラブル発生時の損失予想を出したうえで、リスク対応としていくらまで保守費用を掛けるべきか、経営判断すべきです。

「安物買いの銭失い」はITの世界でもまったくその通りなのです。

◎システム開発費を中途半端にケチって、手作業を多く残す →残業代など人件費が増大。

◎保守費用をケチって、重大トラブル対応はすべて別費用 →トラブル対応コストが高くつく。ベンダーからするとオプション業務なので手配までに時間がかかる。つまりトラブル時間が長くなりその間の機会損失も増大。

もちろん高い金を払えばよいわけではありません。きちんと必要な開発やサービスを押さえたうえで、価格を抑制する、という二律を求めることが大事です。そのためには「IT嫌い」で社長が逃げていてはダメなのです。

2015年7月