2014年12月9日

【失敗しないシステム導入】

~システム稼動前のユーザ教育は誰が実施すべき?~

システム稼働前のユーザ教育は誰が実施すべきでしょうか?システム開発ベンダに一任する方法もありますが、私はユーザ自身が実施すべきと考えます。

システム稼働前の教育は、新システム導入後の新規業務手順についてのユーザ向けの教育と、システム運用・管理手順についてのシステム管理者向けの教育に大きくわけられます。このブログのテーマであるユーザ教育とは前者を指し、新規業務手順だけでなく、新システムの操作方法も含みます。

システムの仕様を理解しているシステム開発ベンダの担当者が適任とも思えますが、ユーザ教育の時期は大抵システムカットオーバ直前の追い込み時期で、仕様をよく理解している担当者は教育どころではなく、教育が片手間になったり、システムの仕様をよく知らない新メンバがアサインされたりするのであまりおすすめできません。

また、システム開発ベンダの担当者は、システムの仕様、またシステムを使用する業務はよくわかっていますが、システムを使用しない業務についてはわかっていない場合が多いものです。ユーザ教育ではシステムを使用する業務だけでなく、その前後のシステムを使用しない業務についても説明する必要があります。これはユーザにしかできません。システムを使用する業務、システムの操作方法を個別に説明するのではなく、業務全体の流れを説明する中でシステムの操作方法を説明する方が、ユーザにとってはわかりやすく、教育効果は高くなります。

ユーザ教育は、ユーザ側の担当者がメインスピーカーとなり、システム開発ベンダと情報システム部門の担当者が細かいシステム仕様などの説明をサポートする形が良いと考えます。ここでのユーザ側の担当者とは各サブシステムのユーザ側リーダを想定します。これを実現するためのポイントは何でしょうか。一つはシステム開発プロジェクトにユーザにきちんと入ってもらうこと、二つ目は要件定義、ユーザテストなどユーザ主体の作業を通して、ユーザ側の担当者を育成することです。

この二つのポイントは、システム開発プロジェクトを成功させる要件に他なりません。ユーザ教育を実施できるようなユーザ側の担当者がいるということは、要件定義、ユーザテスト、移行といったユーザ主体で進めるべき工程をベンダ任せ、システム部門任せにせず、ユーザ主体で進めてきたということです。

ユーザ教育は、ユーザ自身が担当してもらい、プロジェクトを通して、ユーザ教育を担当できるようなユーザ側の担当者を育てていきます。ここで、要件定義、ユーザテスト、移行といった工程をベンダ任せにせず、ユーザ主体で進めていけるようサポートしていくのがシステム部門の重要な役割と考えます。

2014年12月