2023年1030

【RPAコンサルタントの日常】

Microsoft系AIの現在と今後


前回(2023/8/28)、Azure OpenAIの活用について紹介したが、今回は現在及び今後のMicrosoftのAI利用について紹介する。

Bing Chat Enterprise

まず、最近展開されたのが「Bing Chat Enterprise」である。これは企業ユースであれば自動的にブラウザEdgeに機能が搭載される。この機能の最大のポイントは「入力したデータを学習させない生成AI」であることだ。よって、通常のBing Chatを使うのに二の足を踏んでいた企業も安心して使うことができる。また、一日の利用制限もないのがうれしいポイントだ。これらを無料に使うことができるので、企業はどんどんこの機能を推進していくべきと考えるのが普通だ。

 

しかし、落とし穴が一つある。この「Bing Chat Enterprise」は後に「有料」になる。Microsoftによれば単体で月5ドルである。もしくはMicrosoft 365のライセンスが必要になる(Office 365ではなく)。つまりは無料の今じゃんじゃん使ってしまうと、Microsoft 365のライセンスを持っていない企業は、いやがおうでもMicrosoftに課金を強いられるというわけだ。囲い込み作戦である。しかしながら、月5ドルの価値はあるだろうし、後述の「Microsoft 365 Copilot」のライセンス購入条件であるMicrosoft 365を契約するのも悪くないかもしれない。

 

Microsoft 365 Copilot

その「Microsoft 365 Copilot」だが、これはwindowsやOfficeソフト等のAI機能強化をするサービスだ。Microsoftによれば月30ドルで、契約にはMicrosoft 365ライセンスが必要になるかもしれないとのことだ。このサービスを契約することにより、Wordの自動編集、Excelの自動関数提示、Outlookのメール自動生成、Teamsの会議日程調整等が可能になる。AIによる秘書といってもよいツールだ。

 

こちらについては30ドル分の価値が十分あるだろう。月2~3時間の残業が削減されればペイできるからだ。だが、機能を使わない人にとっては全くの無駄になってしまう。この「Microsoft 365 Copilot」は定着化が非常に重要になる。若い人は使っていくだろうが、ベテランはこれまでの方法を変えにくい傾向にあるので、メリットをうまく提示して普及・定着させていくのが重要となる。

 

このように、MicrosoftだけでもいろいろなAIがある。前回紹介したAzureのOpenAIもあるし、Windows11にはWindows Copilotがある。名前の雰囲気が似ているので、複雑に感じてしまうが、それぞれ役割や機能が異なるので導入・活用する際に気を付けたい。

 

2023年10月

【小早川豊のコラム】

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