2021年2月15日

【失敗しないシステム導入】

~システム開発の二面性とは?~


システム開発には発散と整理(発散の対義語は収束ですがここは整理としたいと思います)の二面性があります。発想の発散が足りないとありきたりなシステムになってしまいますし、仕様の整理が足りないと無駄の多いシステムになってしまいます。

システム企画の段階では、ユーザがどのようにシステムを利用するかのユースケースを洗い出します。B2C(Business To Consumer:企業と消費者の間で行われる取引)のシステムでは、ほとんどのユーザ(顧客)がスマートフォンなどの端末を持ち、「システム=ユーザにとってのサービス」となっていることもあり、ユーザがより重視されてきています。ペルソナ(典型的な顧客像)を定義し、カスタマージャーニーマップ(顧客がサービスを認知してから購入までどのように情報に接するかの流れを表した図)を作成したります。

ここでは既存のサービス、システムにとらわれずに一度発想を発散させることが重要になります。発想の発散が足りないと既存システムの焼き直しになってしまったり、最適ではない技術を採用してしまったりします。発想の発散のためには、最新IT動向、同業界のみならず他業界も含めたIT適用事例を常日頃からチェックしておく必要があります。既存のベンダーに縛られずに、様々なベンダーとチャネルを持っておくことも必要でしょう。

一方、システム企画後のシステム開発においては、仕様を整理していくことが重要になります。仕様が整理されていないと同じデータが複数のマスタで管理され、不整合の元になったり、同じような機能が散在し、開発・保守・運用コストが増大します。仕様の整理のためには、データが一元管理されるようデータ構造(データモデル)を作成します。また、作成したデータ構造を基準にしてシステム機能を設計することで機能の重複を避けられます。

このように発散と整理のバランスが重要になります。発散させた後に整理するという手順になりますが、あまり発想を発散させ過ぎると整理の段階で手戻りが大きくなります。システム部門としてはユーザを巻き込んで発散を進める中で、平行して整理の視点を持つ必要があります。

ユーザとの熱い発散の議論の中でもシステム部員は冷静な頭を併せ持ち、粗くても良いのでデータ構造に落とし込んで考えながら、発散し過ぎないようにすることも重要です。発散と整理の二面性をコントロールすることで費用対効果の高いシステムを導入することができます。

2021年2月