2020年4月13日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~PMBOKに記される対立状況への対応方法(4)~

collaborate/problem solve(協力・問題解決)

①前回(2020/2/17)の最後に引いた野中郁次郎博士の「一人称から三人称にそのままジャンプできるかというと、それはできません。その間に、共感、つまり二人称の確立が必要になる」(https://special.nikkeibp.co.jp/atcl/NBO/18/bizreach_interview0402/?P=2)について考察してみます。

スティーブン・R・コヴィー博士の「第3の案」(スティーブン・R・コヴィー、ブレック・イングランド|2012年|キングベアー出版)にも同じく、一人称→二人称→三人称の順序が重要とありました。

②「第3の案」では、なぜこの順序が重要かについての説明は少ししかなされていないのですが、自分なりの解釈を行えば、「自分に正直になって自分を一人の人間として見る。自分の動機、感情、バイアスを認識する」ができている状態にならないと、同じ意味で「相手を見る。相手の動機、感情、バイアスを想像する」ことはできないということだと思います。

そのうえで、以下のようなことだと考えます。

→相手にも同じように行ってもらう

→双方が一緒になって三人称で考える

③野中博士はまた「共感というのは、主観が一歩客観に近づくことだとも言えます。したがってまずは主観がなければ何も始まらないんだけど、主観というのは初めからはっきりわかっているわけではないんです。それが、共感によって明確化していく」としています。(https://special.nikkeibp.co.jp/atcl/NBO/18/bizreach_interview0402/?P=2

これは②を自分と相手が行う過程で、自分では気づいていなかったことに気づき、主観が明確化していくということだと考えます。

④「一人の人間として見る」については、対立の当事者は何らかの所属や立場(国家、団体、企業等)とその問題に対する主義・主張(開放/保護、主戦/反戦等)、利害(正の得失差の最大化)をもって相対しているわけですが、相手を、その「側」にいる一員としてではなく、ひとりの人間として見る(I see you as a whole human being)ことにより、以下が行いやすくなります。

→動機、感情、バイアスを想像する

→破壊的な応酬を避け、協力的な対話を行う

これが前回、技術以上に重要だとした「態度の変更」にあたります。PMBOKでは「attitude」ですが、哲学用語の「態度」では「setting」も使われます。「自然的態度」、「超越論的態度」等があり、用語の概念も難解ですが、思い切って簡単に言うと、ものを見るときのマインドセットであり、コヴィー博士のいう「パラダイム」に相当します。

2020年4月

▼関連コラム-----------------------------------------------------------------

対立状況へのアプローチ(2019/9/17)

PMBOKに記される対立状況への対応方法(1)(2019/11/5)

PMBOKに記される対立状況への対応方法(2)(2019/12/23)

PMBOKに記される対立状況への対応方法(3)(2020/2/17)