2019年12月16日

【失敗しないシステム導入】

~業務マニュアルがメンテされる条件とは?~

システム導入、業務改善、業務の棚卸など様々なことをきっかけとして、業務マニュアルが作成されます。一方で業務は常に変化していきます。作成された業務マニュアルが、業務の変化に応じてメンテナンスされ、常に最新化されている例はあまり見ません。作成された時のままで実際の業務と乖離してしまい、参照されずにいることが多く見られます。

では、どのような場合に業務マニュアルが最新の状態にメンテナンスされ、活用されているのでしょうか。3つのポイントを説明します。

1. 凝った図や文章がない

一点目は、最初に業務マニュアルを作成する際に、凝った図や文章が使われていないことです。凝った図や文章だと後に更新する時のハードルが高くなります。例えば過度に見栄えにこだわった図を作成してしまうと、更新する際に見栄えのレベルを合わせなければならず、面倒臭くなって更新を諦めてしまうかもしれません。図や文章は後の更新のことを考え、できるだけシンプルに作成すべきです。

2. 標準のソフトウェアで作成されている

二点目は、業務マニュアルがその会社の業務用パソコンに標準でインストールされているソフトウェアで作成されているということです。特別なソフトウェアで作成されていると、更新できる人が限られてしまう、もしくは更新する際にソフトウェアを購入・インストールしなければならないということが起こります。このような状況では業務マニュアルは更新されないでしょう。社員全員のパソコンにインストールされている標準のソフトウェアで作成され、誰もが更新できるようになっているべきです。

3. 人材流動性が高い

三点目は、業務マニュアルを利用する現場部門の人材流動性が高い、つまり人の入れ替わりが多いということです。人の入れ替わりが多ければ、引継ぎは業務マニュアルに頼らざるを得ません。その際に業務マニュアルの内容が古いと困るので、自然と更新されるようになります。

逆に人材流動性が低く、業務の生き字引のような人がいる場合、業務マニュアルに頼らなくても、その人に聞けばよくなってしまいますので、業務マニュアルは更新されなくなってしまいます。人材流動性は会社ごとの所与条件ですので、どうこうできるものではありませんが、数少ない引継ぎの機会に必ず業務マニュアルを使って説明することで、業務マニュアルを更新するインセンティブを高めることができます。

上記三点が、業務マニュアルがメンテナンスされる条件となります。業務マニュアルを作成、維持していく際の参考になれば幸いです。

2019年12月