2016年10月24日
【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】
~システム企画の手順と方法(調達フェーズへの橋渡し①)~
情報システムが企画され稼働を開始して活用されるまでには、様々なフェーズ、局面があります。先行フェーズから後続フェーズへの橋渡しは、システム開発・導入を成功させるために非常に重要です。
経営戦略や事業戦略を受けたシステムの構想・企画から活用・改善までをみた時に実施されるフェーズと主な成果物をみてみましょう。
システム開発には複数のフェーズ(工程)があり、各フェーズの参加者は不変ではありません。
この「異なる立場の人々が関与して行う異なる行為と成果物を繋いでいく」ということが事を難しくする大きな要因になります。
まず認識しておくべき基本的なことは、以下のことです。
後続フェーズは、
・先行フェーズの結果を受けて実施される
・先行フェーズの成果を受け取って実施される
重要成功要因は以下のものとなります。
・先行フェーズにおける精度の高い成果(物)があること
・上記の後続フェーズへの着実な受け渡しがなされること
成果はプロセスの積み重ねの先にあるものです。成果に向かうプロセスにあっては、以下のことがポイントとなります。
・効果的なコミュニケーションを必要十分に行い、その経緯と結果を形のあるものとして残す
システム企画・開発において、「目的の共有」がまずは重要です。しかし、目的が共有されていても、時々の状況にあって、関与するメンバはそれぞれの立場でものを思い、考えます。
印南一路「すぐれた組織の意思決定」(1999年/中央公論社)には、“組織はそれぞれ異なる思惑を持った個人の集まりである”ということが書かれています。同じ組織の構成員でも、経営者、中間管理職、現場担当者では異なる思惑を持っているのが通常であると考えるべきです。その前提に立って、表(例:大儀)と裏(例:個人の思惑)の両方を考慮に入れて、今回のシステム開発の目的・範囲・期待効果・進め方等について、組織及び個人が置かれた状況・局面に応じたコミュニケーションを通して合意形成していく必要があります。
こうして行われた合意形成の経緯とその結果をフェーズの中間成果物や最終成果物として残して、先行フェーズから後続フェーズへ受け渡していくこととなります。
次回は、「企画から調達」部分について、より詳しくみていきます。
2016年10月