2020年11月16日

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません

~シングルボードコンピューターで道楽~


たまには道楽めいたお話しを書いてみます。

2013年に発売されたRaspberry Pi(以下ラズパイ)という名前のクレジットカードサイズのシングルボードコンピューターがあります。LinuxのRasbpianというOSを中心にLinuxで可能な大抵のことはできそうだということで試しに買ってみてから、世代ごとに購入していくつかの用途で使用しています。

最初にやってみたのは、宅内のメディアストリーミングです。iTunesにはMacやPCにインストールしたiTunesをサーバーにして、ライブラリ内のメディアをネットワークにある他のデバイスに配信する機能がありますが、サーバーになるコンピューターを常時稼働させていなければなりません。思いついた時に気軽に再生することができないし、データ化したメディアの容量が内蔵ハードディスクに収まりきらないサイズでNASに移していたこともあり、ラズパイをメディアストリーミングサーバーに仕立ててみました。

MACでiTunesを使っていますが、現在iTunesはCDリッピングとiPhoneの母艦としての利用が主になっています。再生自体はiPhoneに同期させて再生することに加えて、iPhoneのストレージではライブラリに収まりきらないため、DLNA配信を使ってiPhoneを再生したり、Bluetoothで繋いだスピーカーで鳴らすといった使い方をしています。ラズパイに直接Bluetoothスピーカーを接続する方が楽なはずですが、安定した接続がうまくできないのでiPhone経由に落ち着きました。

次に試してみたのはL2TP/IPsecで接続するVNPサーバーです。普段仕事で持ち歩くMacのディスク容量は250GBのモデルで、Windowsの仮想マシンも入れてあり、データの保存容量はそれほど多くできないためNASに逃すようになりました。そのため、ラズパイにL2TP/IPsecで接続可能なVPNサーバーをインストールし、VPNで自宅にあるNASに接続してデータにアクセス可能な状態にしていました。MacならiCloudドライブ、WindowsでもOneDriveなどのクラウドストレージも利用可能でしたが、クラウド側に置いたファイルのうち、実際に編集などでローカルキャッシュが必要なもの以外は、ローカルコピーを置かないことがデフォルトになるまでは活用する気になれませんでした。うかつに大量のファイルをクラウド側に置くと、同期のためにローカル側のディスク容量を消費するので大したメリットを感じられず、VPN経由でNASを利用していました。iCloudドライブ、OneDriveともにローカル側のディスクを浪費しない仕様になってからはわざわざVPN接続を行う必要もなくなり、自宅のルーターをL2TP/IPsecを装備したものに入れ替えたのでラズパイでのVPNサーバーは不要になりました。

これら以外にも、いまのところ継続的に使ってはいませんが、Active Directoryの環境が必要な検証を行うときにSambaを使ったドメインコントローラーを作ることもあります。Windows Serverは180日間の評価版が利用可能なので使わなくなったノートPCで構築することも可能ですが、半ば興味本位で仕立てることもあります。現時点ではWindows Server 2012 R2のレベルまでしか対応していませんが、ドメイン環境でのクライアントPCの動作を確認する程度であれば実用上困ったことはありません。

使用するには本体とケース・ACアダプタ・SDカードが必要ですが、一揃いで15,000円もあればコンピューターとして一通りにことが可能な環境が揃います。LAN接続ができれば、ディスプレイ・キーボード・マウスはなくても初回セットアップからリモートも可能です。ただし、SDカードの耐久性は長期間常時稼働で読み書きされることを想定したものではないので、業務用途として考えるのであれば本体のスペアを用意しておいた方がよいです。セットアップ完了時点のSDカードは複製を用意したり、SDカードではなくUSB外付けハードディスクを利用するなど耐久性を考慮した構成が必要となります。

2020年11月