2023年410日

【RPAコンサルタントの日常】

運用してみて初めてわかったAVDの注意点


AVD(Azure Virtual Desktop)とはクラウド上に作られた仮想コンピュータ(仮想マシン)である。クラウド上なのでどこからでもアクセスでき、社内にVPNを引けば社内サービスにもアクセスできる。展開も容易で、OSイメージさえあれば何台でも仮想マシンをいつでも展開できる。また他のクラウド仮想マシンと違い、1台の仮想PCに何人も同時にアクセスすることができるので、人数分仮想マシンを作らなくてよくお財布にやさしい。

 

そんなAVDだが、しばらく使用してみて、いろいろ注意点がわかってきた。今回はその中の「仮想マシンの作り直しは頻繁に行わなければならない」問題にフォーカスする。当たり前だが仮想マシンもソフトウェアをアップデートしていく必要がある。このアップデートのために仮想マシンの作り直しを頻繁に行う羽目になる。

仮想マシンのアップデートには大まかに分けて3つの分類がある。

OSのアップデート

OSのアップデートは手動でも自動でも行える。しかし、使っていない仮想マシンを停止しておくように構築している場合、停止しているが故にOSアップデートが全然なされない、といった事態に陥る。また、ユーザーが使用している際にOSアップデートがかかり、再起動を求められたりする。通常のPCであれば再起動してもよいが、AVDの場合、1台の仮想マシンに何人もログインしているので、再起動してしまうと他のユーザーを巻き込んでしまう。この対策をするために、1か月に1度すべての仮想マシンを立ち上げ、Windowsアップデートを自動実行し、アップデートが済んでいる時間を見計らって停止するよう設定することになった。

 

AVD必須のソフトウェアのアップデート

具体的に言えば、FSLogixというソフトウェアのアップデートである。これはユーザーのデータ領域を複数の仮想マシン上で共有するソフトだが、自動でアップデートしない。よって手動でアップデートする必要がある。アップデート方法は、仮想マシンに一台一台アクセスしてアップデートし再起動する形だが、台数が多いと現実的ではない。そこで仮想マシンのマスタイメージでアップデートして、すべての仮想マシンを作り直す形になる。FSLogixのアップデートは有益なものが多いため、バージョンが上がったらこの作業を行っている。結果、年に何回も仮想マシンを作り直す羽目になる。

 

業務アプリケーションのアップデート

OfficeソフトやCADソフト、DTPソフトがこれにあたる。これは自動アップデートするものもあるが、ほとんどが手動アップデートだ。自動アップデートもOSアップデートと同じく、仮想マシンが停止していればアップデートされない。また、OSアップデートと違いスケジュール化できないものがほとんどだ。これも仮想マシンに一台一台アクセスしてアップデートし、仮想マシンをすべて作り直すことになる。仮想マシンを維持していくために、ソフトウェアのアップデートはある程度行わなければならない。だが、一台一台にアクセスしてアップデートするのは非常に大変である。よって、先述の通りマスタイメージをアップデートして、仮想マシンを作り直すことになるのだが、これもなかなか負荷が高い。

 

以上が運用してみて初めてわかったAVDの注意点の一つである。

 

2023年4月