2023年7月10日
【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】
~DXの取り組みに周回遅れなどない~
先日筆者が所属する全国にメンバーがいる異業種交流団体が、オンラインではなくリアルの理事会を3年ぶりに開催しました。オンラインでは毎月顔合わせをしていましたが、やはり久しぶりの懐かしい面々との再会は皆さん嬉しいようで、大盛況の会となりました。
会議において「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が主要なテーマの1つとして議論されました。地方では今年に入ってからDXという言葉が頻繁に聞かれるようになったらしいのです。IT業界や都会の大企業から見れば「いまからDX?遅いよ、周回遅れじゃない?」と揶揄する向きもあるようです。でもそんな戯言(ざれごと)はまったく気にする必要はありません。DXの取り組みにおいて、すべての企業や団体に当てはまるような「タイミング」などありません。その会社ごとに取り組むべき時機があるのです。
マーケティング理論の1つにイノベーター理論というものがあります。新たな製品やサービスの市場で普及率などを語る際に使われます。DXの普及にもこのイノベーター理論を適用することができます。イノベーター理論では早く取り組むかどうかで下記の5つのタイプに分けられます。
イノベーター(革新者)2.5%
アーリーアダプター(初期採用者)15.5%
アーリーマジョリティ(前期追随者)34.0%
レイトマジョリティ(後期追随者)34.0%
ラガート(遅滞者)16.0%
前述した「地方はいまからDX?」といった発言は地方の取り組みをレイトマジョリティとして見ているのだと思います。筆者の見方は違います。いまのフェーズはアーリーマジョリティと見てよいのではないかと考えています。ITベンダーが広告宣伝などで「DX」と騒いでいるものの大半は数年前まで「IT化」と言っていたこととほとんど変わらないからです。DXで重要なのはX=トランスフォーメーション=変革です。ですから、都会の大企業だろうが地方の中小企業だろうが、社長が変革に取り組む気持ちがあるか、その気持ちを社員が共有できるか。単純な時間的な早い遅いより、そちらのほうが大事だし、重要な成功要因となるのです。
一周遅れなどと上から目線でいうIT関係者がいたら、その認識や姿勢こそがビジネスの世界では一周遅れどころか三周遅れなのです。
2023年7月
【永井昭弘のコラム】