2019年9月24日

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】

~安定稼働中は意識されない~

前回(2019/7/29)は夏場の高気温にまつわる話題でしたが、今回もまた気象にまつわる出来事からの話題です。先日の台風15号は各地に被害をもたらしましたが、千葉県の送電網が破壊されたために大規模な停電を引き落とし、この原稿を書いている時点でもまだ完全な復旧に至っていません。昨年は地震が原因ですが、発電所の故障に起因して連鎖的に他の発電所が停止した結果、北海道全域で起きています。

停電に備えてUPSなどの非常用電源を用意しておけば停電発生時にいきなりシステムが停止することは防げますが、稼働可能なのは蓄電池なら容量、発電機なら用意してある燃料が尽きるまでです。今回のような長時間にわたる供給停止がありうることを考えると、必要になることはほとんどないとしても、補給手段についての検討も必要です。そう考えると非常用電源といっても瞬断やシステム破壊を避けて安全な停止を支援するための仕組みと割り切っておいた方がいいのかもしれません。また、今回の台風15号では、東京圏で各種交通が事前告知をして運休しましたが、運行再開まで運行会社自身も予想していなかったのではないかと思うほど時間がかかった路線もありました。

IT業界の中で大雑把にインフラ屋と呼ばれる領域での仕事が多いので、これら各種インフラの障害発生と復旧に至る流れを見ていると、インフラ絡みの仕事は大規模なサービス供給停止はもちろん、ちょっとした不具合でも利用者から責められるのに、安定して供給されている間は、そういうサービスが存在すること自体人々の意識にのぼらないし、安定していることを評価されるものでもないと考えさせられます。

実際、利用者にしてみればネットワークは繋がっているもの、サーバとPC、その上で動くOSやソフトウェアも動いていて当然な環境が日常となっています。安定しているからといってインフラまわりの仕事は、止まらないための設定やシステム更新、稼働監視、バックアップ等々と途切れなくありますが、安定している分には利用者サイドからは意識されないし、取り立てた評価がされるわけでもないものです。

しかし、一度不具合が発生すると、原因がハードウェアの劣化やプログラムの不具合、果ては利用者自身の誤操作などの原因が多く、こちらが意図して不具合が発生したわけでもないのに、何かこちらが悪いことをしたような立場に置かれることがままあります。情報システムインフラ管理やエンドユーザーサポートの仕事を始めた当初はこういった面にモヤモヤしたこともありましたが、安定して稼働していれば基本的に電気・ガス・水道などインフラの面倒を見ている管理業務と同じで、安定稼働して不具合が発生しない限り利用者に存在を意識されないことが成果という性格が理解できるようになりました。

2019年9月