2017年6月5日
【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】
~システム企画の実際(システム企画で困難に遭遇した場合②)~
前回(2017/4/10)、システム企画の実施時に遭遇することがある困難として3つ挙げました。
● インプットの不足(2017/4/10)
● プロセスの停滞
● アウトプットの未完成
今回は「プロセスの停滞」と「アウトプットの未完成」について記します。
2.プロセスの停滞とアウトプットの未完成
プロセスの停滞とアウトプットの未完成とは、以下のように両者が深く関係していることから、ここで合わせて取り扱います。
“ プロセスが停滞するからアウトプットが未完成になる ”
“ アウトプットが明確でないからプロセスが停滞する ”
アウトプットを定義し、その仕様を決めてそのために適切なプロセスを行うのですが、それがうまくできていない状態です。
ここで困難に遭遇する最もおおきな原因は、一言で言うと「計画不全」で、それは以下の2つに分解できます。
「計画ができていない」
「計画はできているが実行及び実行管理ができていない」
これらをクリアするための要素は以下の如くと考えます。
アウトプットの定義と仕様決定
「何が欲しいのか分かっていない者は、それを手に入れられない」とは、ある日本の作家の言葉ですが、システム企画の段階で、企画及び継続フェーズのどの場面で何が必要であるかが分かっていないと、システム開発はうまくいきません。必要なアウトプットが完成しなかったり、不要なアウトプットを作ることに労力をかけてしまったりしてしまいます。例えば、エンドユーザが直接操作するシステムなら「画面設計書」が必要ですが、制御系のシステムならそれは必要ないことがあります。この意味で、まず「目的志向」「ゴールからの逆算」を意識して、アウトプットの定義と仕様決定を行います。
アウトプット完成に向けて必要なプロセスの設計
アウトプットを明確にすることで、必要な資源(人的リソース、スキル、所要時間、資金等)やその他の成功条件を考えることができるようになります。これらを、以前のコラム(2016/9/12)の「スケジュール」の項や、当社コンサルタント石井のコラム(2016/3/7)に記されているところに留意してスケジュールに載せることでプロセスの設計を行い、「計画ができていない」をクリアします。ここで計画の作成とともに計画に対する承認・合意を得ておくこと、そして実行管理の方法を決め、それについても承認・合意を得ておくことが、プロセスの実行及び実行管理のために重要です。
プロセスの実行及び実行管理
計画にしたがって実行し、その管理を行って、必要に応じて計画を修正しながら進めます。上に記した「承認・合意の取得」は、この過程をスムーズに進めるために効果を発揮します。計画が十分であるはずなのにプロセスが停滞する場合は、「計画はできているが実行及び実行管理ができていいない」と見て、それをクリアする必要があります。「プロセスの停滞」という現象の原因を見極めて、手を打つこととなります。原因がすぐに特定できる場合は、それを取り除く手を打つようにしますが、特定が難しいときには、方法、意欲、環境といった抽象的なレベルの分野から、その下にされにある個々のチームや個々の事情といった具体的なものを仮定し、見極めていくことが有効です。
2017年6月