2017年2月13日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~システム企画の手順と方法(調達フェーズへの橋渡し③)~

企画から調達フェーズの移行について記す中で、前回(2016/12/12)、以下のことを述べました。

自分たちで考えた企画の実現を外部の依頼先の知恵やスキルを得て行うということは、依頼先からの提案と作業参加を受けることとなりますが、この時に情報提供依頼書(RFI)と提案依頼書(RFP)が有効なコミュニケーションツールとなります。このうち、前回説明を加えた提案依頼書(RFP)に続いて、今回は情報提供依頼書(RFI)について記します。RFI発行は、これから行おうとするシステムの開発と活用を考える際のインプット情報を取得するための活動の一つで、企画フェーズと調達フェーズの両方で有効です。

① 企画フェーズのRFI

企画フェーズでは、その初期に「内外環境の分析」を行います。RFIはこの際の「外部環境分析」のために使用します。すなわち、経営・事業・業務の目的を達するために活用可能なIT動向(いま、どのような技術があって、それが製品やサービスとしてどのように利用できるのか、利用の前提条件はどうか、費用の目安はどれくらいか)の調査・検討のための情報取得がRFIの目的です。

② 調達フェーズのRFI

調達フェーズにおいても、RFIの目的は企画の時と同様ですが、さらに以下のようなことに用いることができます。

▼企画の強化・確認を行う

企画フェーズで、目的を達するために役立ちそうなITソリューションとしてどのようなものがあるのか、それを適用するためにどの程度のIT活用力(ITガバナンス)が必要なのか、幾らくらい費用がかかるのかといった点で十分に情報を得られていない時には、ここでRFIを発行して企画の精度を高めることができます。ここでRFIによる情報取得を行うことは、可能性だけでなくリスクの把握とその対策の検討にも役立ちます。

▼提案依頼先の候補を探す

そのベンダが提案依頼先として有力か(企画で考えた内容の実現を支援する提案をしてくれそうか)どうかをみることができます。また、調達フェーズでは開発以降をともに行うパートナとなるベンダを選定しますので、その候補となるベンダと直接コミュニケーションをとることで意欲や相性といった点でも、ある程度の感触を得ることができます。

▼RFPの記述を具体化する

取得した情報を考慮して、RFPに記述する提案依頼範囲や内容をより具体的に示すことで、候補ベンダから受ける提案精度の向上が期待できます。

情報収集の手段としては、新聞・雑誌の記事やウェブ検索が手軽ですが、これらで得られる製品・サービスの情報は、詳細化されている場合があるとはいえ、カタログの説明とあまり変わらないことがあります。事例紹介記事にしても、往々にして肝心なところが書かれていないことがあります。ベンダからすれば、なんらのスクリーニングなしに不特定多数に情報を開示することは、前者の場合はそのベンダの競合他社が、後者の場合はそのユーザ企業の競合他社がその情報をみる可能性があることから、行われないのが通常です。そこで、ベンダに対する発注を検討するユーザ側としては、「自分たちにはこれから進めていこうとする案件があり、そのために貴社の技術・製品・サービスの提供を受けることを検討している」ということを示し、スクリーニングを通過して、より詳細で具体的な一次情報を求めることとなるわけですが、RFIはこれを行う際に大いに役立つものとなります。

2017年2月