2015年12月14日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~システム企画の手順と方法(各ステップの内容④)~

システム企画の対象となるものの検討・選択を考えるために、対象の選択における顧客価値創造の優先、トレーシーとウィアセーマによる3つの類型、それぞれに該当するシステム企画の例をみてきました。これをまとめて言うと、システム企画の対象として有力なものは、「事業や業務のレベルから考えて、顧客価値創造の効果を見込んだ施策の実施環境を整備するときに、ITの適用が効果的であるもの」となります。

前回まで(2015/9/242015/11/2)に顧客価値創造の3つの類型とそれぞれの事例について、システム企画の対象をみてきました。ITの適用が有効だと考えられる対象の選択に際しては、一見してそれとわかるという場合もありますが、そうである場合とそうでない場合を合わせて、抽象化して手順を表すと、以下のようになります。

重要成功要因(CSF)について、測定指標と目標値、それを満たすためのアクションプラン、アクションプラン実施に関係する業務を考え、プレーヤーの業務遂行に必要となる情報を考える。

「測定指標と目標値」は、「CSFが実現されていると言うためには何がどれだけよくなっていればよいのか、何がどれだけよくなれば(指標の測定値が改善されれば)CSFが満たされる方向にいくのか」ということです。「アクションプランは」「測定指標の目標値を満たすために、何を始めるのか、何を改善するか」です。以降、これに関わる「業務」、その業務に携わる「プレーヤー」、プレーヤーの業務遂行に必要となる「情報」を具体的にしていきます。

オペレーショナルエクセレンス(業務における卓越性)の例として挙げた格安航空会社では、顧客価値創造を「オンタイムサービス」、「低価格」の提供によって行うとして、そのための重要成功要因を「地上での迅速な折り返し」としています。測定指標の目標値は「地上滞在時間:30分以下」、「定刻出発率:90%」、アクションプランは、「到着から出発までの所要時間の最適化」です。

業務については、「到着した航空機」を「出発可能な航空機」とするまでを対象範囲とし、「乗客を降ろす」、「整備・給油を行う」、「乗客を乗せる」に分けてフローを考えています。プレーヤーは航空機整備係、荷物処理係、乗客案内係、プレーヤーの業務遂行に必要となる情報は、到着した航空機、燃料、機内用具等に関わるものとしています。

ポイントはCSFの満足について最初に考える「測定指標と目標値」にあります。この設定が適切でないと、以降の具体化やシステム導入後の効果検証と継続的改善がうまくいきません。戦略マップとバランススコアカード(BSC)の創始者であるキャプランとノートンは、1996年の著作「バランス・スコアカード-戦略経営の変革」(Robert Caplan and David Norton,the Balanced Scorecard,1996)を、航空機のコクピットに乗り込んだときに目にする計測機器から書き始めています。

2015年12月

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※ 関連コラム 【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】 「システム企画の手順と方法(各ステップの内容①)」 (2015年8月10日)

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】 「システム企画の手順と方法(各ステップの内容②)」 (2015年9月24日)

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】 「システム企画の手順と方法(各ステップの内容③)」 (2015年11月2日)