2019年2月12日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~外力としてのコンサルタント~

コンサルタントに期待できることとして「方法を知っている」「事例を知っている」ということを述べてきましたが、もう一つ「外力として働く」ということがあります。具体的には以下のようなことです。

● 内部の人間が切り込めないところに切り込める

● 第三者として合意形成に関与する

● 社内の人間ができないことをできるようにしてくれる

内部の人間が切り込めないところに切り込める

組織はそれぞれ異なる思惑を持った個人の集まりであり、組織内において、個人、チーム、部門、全体の利害が常に一致しているとは限りません。自分が組織内部にいる場合、やるべきことの案があっても、頭でわかっていても、自らそれを発現し、実行していくことにリスクや負担を感じる場合があります。それは時に、現在や将来の生活に関わるレベルであることがあります。社内の利害関係から離れたところにいる外部コンサルタントの場合には、このリスクや負担が内部の者に比べて小さいので、これを行いやすいといえます。

また、「事実はあっても、報告されないと情報にならない」ということがあります。現場で起こっていることは事実としてあって、それ自体は社内の者が見ても社外の者が見ても同じでも、それが報告されて共有されるか、どのようになされるかというのは、報告者の立場やものの見方によって異なります。これにより、都合の悪いことは報告されない、いいことなのに報告されない、的確に伝わらない、といったことが起こります。どの立場からも見えやすいところと見えにくいところがあり、一方から見えにくいところを見えるようにすることで、問題の本質が明らかになることがありますが、外部のコンサルタントを活用することで、これを行う助けとすることができます。

私が経験した事例では、ある会議体で意思決定が必要となっていた際に、出席者同士が警戒しあい、牽制しあうという感じで、なかなか事が進まないということがありました。顧客及びベンダのプロジェクトマネージャは優れた方々で、意思決定のための情報の選択、会議での説明要領とも、私が十分だと感じていましたが、出席者の中には、何を示されても、どのような説明を受けても「やり方が見えない」と言い続ける方がいました。

これに対し、会議の中で「やり方についてはこのような案の提示と説明がなされている」「見えない、といはどういうことか?」と言う人はいませんでした。私も自分がそれを言ってもうまく行く気がしませんでした。本人は本当に見えない、わからないと思っているのかもしれないし、理解や合意を示すことにリスクや負担を感じていたのかもしれません。私は後者ではないかと考えていましたが、顧客プロジェクトマネージャは前者だと考えていました。

暫く悩んで、当事者意識の強さが問題、解決策の方向としてさらに言えば責任を外すか、より直接的な責任を持たせるか、ではないかと考えました。より直接的な責任を持っていただくなら、期間が限られた中でコミュニケーションの質を変える必要があるとも考えました。そこで、社長と相談し、以下のように次の会議の準備をして、当日のファシリテーションを行いました。

・その方をプロジェクトチームの相談役かつ支援責任者として正式にアサインしていただく

・1対1の面談機会を作らせていただく

これは直接、会議の中で何かをする方法ではありませんが、外部の者だから社長に提案できた(しやすかった)ことではないかと考えます。

2019年2月