2017年6月26日
【コンサルタント散歩】
~炎上プロジェクトこそ障害時の影響調査をしっかりと!~
製造工程以降のテスト工程で炎上してしまうプロジェクトをよく見かけますが、その現場では障害改修時の影響調査をしっかりとやっていないことが多いように思います。筆者が参画した炎上プロジェクトでも進捗に追われていて障害が発生しても原因箇所の改修のみ実施し、影響調査を疎かにしていることがありました。
(前提:上流工程での成果物の品質は置いておきます)
では、影響調査を疎かにしていると何が起こるのでしょうか。同じような事象の障害が多発する可能性が高くなり、障害の改修を行っても根本解決にはなっていないため、新たな障害が発生する等が挙げられます。このようなことを見逃してしまった結果として、なぜ前工程で見つかるはずの障害が発生するのか問いただされることになったり、また当工程で発生する障害である旨のストーリーを考えるのが難しくなってしまいます。最悪の場合は前工程の品質を疑われて現スケジュール内で品質強化を行うことになり、地獄を見ることになってしまいます。そうならないためにも影響調査をしっかりと行う必要があります。
影響調査を行うポイントとメリットを以下のようになります。
【影響調査を行うポイント】
〇調査観点を明確にして他機能へ影響はないか調査する。
〇調査観点を明確にして同様の処理が他機能にないか調査する。
〇調査観点、過程と結果をエビデンスとして分かるように残す。
【影響調査を行うメリット】
〇どの様な観点で影響調査をしたかエビデンスを残すことにより、ベンダ側の身を守ることとなる。
〇同じような事象の障害が発生しにくくなる。
〇同じような事象の障害でも前回の影響調査観点を説明することができる。
ここまで影響調査の必要性やポイント、メリットをご紹介しましたが、ただ影響調査をやればよいというわけではありません。影響調査のエビデンスと内容を論理的に説明できるようにする必要があります。極端な話、以下のような説明をユーザとして受けた場合、どちらが納得感や安心感を得られると思いますか。
「原因が〇〇だから△△を改修しました。」
「事象と原因が〇〇だから□□の影響調査を行いました。調査方法は◇◇です。そのため、改修箇所は△△になります。」
最後に、実際のプロジェクトは進捗に追われて影響調査を疎かにしやすいですが、同じような障害が発生して時間を取られたり、後工程で問題になるよりは、影響調査にしっかり時間をかけて障害の発生率を少なくすることで、余裕を持ったプロジェクトになるのです。
2017年6月