2022年81

【失敗しないシステム導入】

データ連携において考慮すべきこととは?~


近年、システム間でのデータ連携機能を開発するプロジェクトが増えています。既存システム同士、新システムと既存システム、社内システムと外部システムなど様々なパターンがあります。また、対象システムも2つに限らず、3つ以上の場合もあります。

設計においては各システムのテーブル定義書を見比べて項目をマッピングし、過不足がないかを確認します。さらに項目名について、桁数、型、意味、値を確認します。項目名が似ていても実際に意味を確認すると別の項目だったという場合もあるので注意が必要です。また、課税区分などの値が社内で統一されていなければ、連携の際に変換する必要があります。

これらの作業を終えると形式的にはデータ連携ができるようになりますが、これだけでは不十分です。実際にデータ連携をしてみると、必要なデータが連携されない、不要なデータが連携されるなどの不具合が見つかります。このような不具合を防ぐために考慮すべきことが何でしょうか。以下にご説明します。

1.データの対象範囲

同じ「予約」テーブル同士でも一方は個人予約と法人予約の両方を含み、一方は個人予約だけというように対象範囲が異なることがあります。連携するテーブルの対象範囲を確認します。この場合、対象を定義する項目、例えば「個人法人予約区分」があるはずですのでこれも合わせて確認します。

2.データの品質

テーブルには現行システムのデータだけでなく、旧システムから移行してきた古いデータも含まれていることがあります。多くの場合、旧システムは現行システムに比べると埋まっている項目が少なく、そのまま連携すると連携先で問題が発生するかもしれません。テーブルに格納されているデータの品質を確認します。

3.データのライフサイクル

データにはライフサイクルがあります。例えば「予約」でれば、予約申請→予約確定→実績

というようにステータスが遷移していきます。他にキャンセル申請→キャンセル確定というステータスも考えられます。連携先では予約申請のステータスは不要ということもあるかもしれません。データのライフサイクルの視点でどのようなステータスがあり、連携先のシステムで全てのステータスが必要なのか、不要なステータスがないのかを確認します。

これらの視点で設計工程でデータ連携仕様を確認しておくことで、テスト工程に入ってからの試行錯誤を防ぐことができます。

2022年8月

【石井健作のコラム】

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