2020年10月6日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~社内のハンコ文化を改められるのは社長だけ~


菅内閣の発足とともに、大きな注目を集めているのが河野行政改革担当大臣による大胆な改革とデジタル庁の発足です。行革の最初にやり玉に挙がったのが「行政のハンコ廃止」です。河野大臣の指示を受けて内閣府が全府庁にハンコの原則禁止を求めたところ、一部の法律で定められたもの以外は、ほとんど廃止できそうということです。もし本当に公官庁がハンコ廃止に進めば、当然のことながら民間にも大きく波及することでしょう。いや、実際は大企業を中心として脱ハンコはすでに進んでいます。大企業は社員数が多く、また承認プロセスもその内容や金額により多数あるため、紙にハンコでは時間がかかってしまいます。大企業同士の競争はとても激しく、スピードが勝敗を決します。それゆえ、かなり以前からワークフローシステム等を使っての決済が進んでいます。

一方で脱ハンコができていないのは、中小企業なのです。それがコロナ禍のテレワークの状況で明らかになりました。本来であれば社員数が少なく、身軽な中小企業の方が変化に対応しやすいはずです。巨大な恐竜が滅び、小さなネズミのような哺乳類が生き残ったことはご存じでしょう。ところが、日本の企業社会では中小企業の変化の対応の遅れが目立ちます。もちろん中小でも真っ先に対応している会社はたくさんあります。しかしながら、旧態依然たる経営を続けている会社も少なくありません。テレワークの普及を疎外する要因はいくつもありますが、そのうちの1つが「ハンコ」です。

ハンコは「紙」に押されます。紙でないと仕事ができない会社とペーパーレスが進んだ会社ではどちらがスピードがあり、効率が良いか、誰もがわかっていると思っていましたが、実は10%の企業がその認識がないようです。コンカーが行った調査によると「ペーパーレス化の重要性を認識していますか?」という質問に対して89%が「認識している」、11%が「認識していない」との回答でした。また「あなたの会社で業務のペーパーレス化はできていますか?」という設問には「できている」が55%、「できていない」が45%との回答です。この2つの設問から「できていない」のうち、45-11=34%の会社は「認識はしているができていない」ということになります。

その理由は何か?会社により諸事情はあるでしょうが、それを打開するのは社長の仕事です。社長にしかできないのです。社長が率先して社内文書に捺印することをやめるのです。役職順に捺印欄が並んでいる紙の稟議書や申請書を使っている限り、「ハンコ出社」はなくなりません。ハンコ1つのために社員が往復の通勤時間と費用を使うことの価値を社長は真剣に考えるべきです。さらに仕事ができない社員、特に無能な管理職ほどハンコを押すことが仕事と考えています。

大企業に続き、公官庁が脱ハンコとなれば待ったなしです。34%に該当する会社の社長はすぐに行動しましょう。そして11%の認識していない会社は一刻も早く気付かないとアウトです。

2020年10月