2021年10月25日
【失敗しないシステム導入】
~システム開発の前にユーザに伝えるべきことは?~
システム開発プロジェクトを始める前に、情報システム部門はユーザに対してプロジェクトの目的、スコープ、スケジュール、体制、予算などを伝える必要があります。例えば、ユーザ、ベンダを交えたキックオフミーティングの場で、これらのことをユーザに伝えます。
プロジェクトの目的、スコープ、スケジュール、体制、予算などはシステム企画書、RFP、ベンダからの提案書に記載してあるので、それらをもとに説明すればよいのですが、その際に漏れてしまいがちなことがあります。それはシステム開発も各工程とユーザの役割についてです。
情報システム部門やベンダにとっては何度も繰り返してきたシステム開発であっても、あるユーザにとっては初めてのことかもしれません。ベンダから開発スケジュールが説明されたとしても、各工程で自分は何をやればよいのか、何が達成されたら工程が完了するのか、工程を進める上で自分が注意すべきことは何かをユーザが理解しないままでは無駄な作業や漏れが発生してしまいます。
システム開発プロジェクトを始める前に情報システム部門は、どのユーザがシステム開発経験者で、どのユーザがシステム開発未経験者であるかを把握し、システム開発未経験者であるユーザに対しては要件定義、設計、開発、ユーザテストなどの各工程の位置づけと、そこでのユーザの役割、完了基準、注意点をユーザに説明すべきです。そうすることで初めてユーザは十分にプロジェクトに貢献できます。
上記の重要性を理解されている企業では、ユーザ向けのシステム開発ハンドブックを作成し、システム開発プロジェクト開始前にユーザに配布しています。さらに、システム開発未経験であるユーザに対してはハンドブックの内容についての説明会を実施しています。
度重なる業務効率化、組織のスリム化でユーザ側体制は余剰がなくなっており、システム開発に投入されるユーザも最低限に絞られる場合が多くなっています。このような状況において、ユーザの貴重な工数を無駄なくプロジェクトに投入・貢献してもらうためには、ユーザがプロジェクトにおける各工程の位置づけ、自身の役割、注意点を正確に理解しておく必要があります。そのためにプロジェクト開始前にはユーザにシステム開発の各工程と役割をしっかり説明しておきましょう。
2021年10月