2014年12月22日
【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】
~システム企画の手順と方法(文書作成①-a)~
前回(2014/11/10)、システム企画書の全体概要について記しました。今回は、システム企画書を作成する時に留意すべき点について考えてみたいと思います。
システム企画書をどのようなものとして作成するか(=作成の目的)は、
1.「この企画を実施しよう」(または「実施しない/見直しが必要」)という判断ができる
2.開発に外部事業者が関る場合に作成することがある提案依頼書(RFP)のインプットとなる
でした。それぞれについてみていきます。
1.「この企画を実施しよう」(または「実施しない/見直しが必要」)という判断ができる
ここで大切なことは、「判断するのは誰かが意識されていること」と、「読みやすく、わかりやすい」ことです。
●判断するのは誰かが意識されていること
メッセージを伝える相手に適した伝達方法を採ることは、コミュニケーションを効果的なものとするための基本的な条件といえますが、これが意識されずにいることがあります。文書作成者が書きたいことを書きやすいように書くのではなく、読者が読みたいこと(知りたいこと)を読みやすく、わかりやすく書くのがポイントです。
“読みたいこと(知りたいこと)を書く”
企画の実施(または中止/見直し)を判断する人物の代表格は「意思決定者」と「現状からの変更内容が影響する関係者」(以下、「変更関係者」と記します)です。これらの人々にとって、読みたいこと(知りたいこと)として共通してあるのは、「システム構築の目的」です。それぞれには、さらに以下のことが挙げられます。
【意思決定者】 いくら費用がかかるのか、いつ費用がかかるのか、どのようなリスクがあるのか
【変更関係者】 いつ変わるのか、何が変わるのか、それによって自分の日々の仕事がどのような影響を受けるのか
システム企画書には、よい点も悪い点も含めて、上記の関心に応える内容が記されている必要があります。
●読みやすく、わかりやすいように書く
これを多く実現するためには、人間(humankind)と個人(individual person)を想定して書きます。
“人間(humankind)を想定して書く”
人間(humankind)を想定して書くとは、企画書を手にした読者が認識や想像を行う際に苦痛を感じることが少ないように書く、認識力や想像力の限界を超えないように書くということです。
・ 読者が認識や想像を行う際に苦痛を感じることが多いと、 ⇒その文書は「読まれないもの」になる。
・ 文書に記された内容が、読者の認識力や想像力の限界を超えると、 ⇒その文書は「わからないもの」になる。
これらのことは、ビジネス文書としては致命的な欠陥です。情報の量や記述の正確性、具体性、詳細性の度合いが高いことは、読みやすさやわかりやすさを保証するものではありません。
このことは、ミラーの法則(Miller’s Law)に示されるところに合致します。ミラーの行った実験の結果は、人間の脳は、直感的判断には優れるが、大量の情報を短期記憶して処理することには向かないということを示しました。そして、これらの特性と限界は、生物種としてのヒトに共通する普遍的なことで、いわゆる「頭の良し悪し」とは無関係な、人間の脳の機能的限界に基づくものと言われています。
>>次回に続きます。 ※このコラムは、2015年6月29日のコラム(文書作成①-b)とセットになっています。
2014年12月
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※ 関連コラム 【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】 「システム企画の手順と方法(全体像)」 (2014年11月10日)
【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】 「システム企画の手順と方法(文書作成①-b)」 (2015年6月29日)