2015年5月25日

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】

~サーバルームの環境整備 (4) エアコンの漏水対策~

ここまでサーバルームを設置するにあたって空間の広さ、空調、電源と考えてきました。空調のところでは空調能力と費用の話で終わってしまいましたが、設置するタイプによっては漏水対策についても検討が必要です。

サーバルーム専用に設置する場合は業務用のパッケージエアコンというタイプを設置することが一般的ですが、さまざまな形状があり、一般的なものとしては、

1. 天井埋込カセット型

2. ダクト型

3. 天井吊・壁掛型

4. 床置型

などがあります。

天井埋込カセット型やダクト型はエアコン本体が天井の中に設置されます。カセット型は本体周囲の四隅に吸込・吹出口が開いていますが、ダクト型の場合は本体からダクトを伸ばして天井の任意の場所に吸込・吹出口を置いて自由なレイアウトが可能です。天井吊・壁掛型や床置型は天井内部に本体を設置する十分な空間を確保できないためなどの場合に採用されますが、本体と吸込・吹出口が一体化したユニットになっています。

床置型は室内に十分な設置空間があれば、置くだけなので問題になることは少ないでしょう。しかし、それ以外の場合、サーバラックなどの機器を置く場所と空調の吸込・吹出口の配置に注意が必要です。

空気の冷却・除湿を行うとつきまとうのが結露による水滴の発生です。適切に排水される分には何の問題もありませんが、さまざまな原因で吸込・吹出口側に水滴が発生し、この水が外部に漏れることはそれほど珍しいことではありません。ラックをこの位置に置くことは極力避けるようにすべきです。一滴二滴の水滴が落ちたくらいで深刻なトラブルが発生することはそうそう起きないし、ザーザーと流れ落ちることもないと思いたいのですが、サーバルームに常時人が詰めていることは普段ないため、長期間にわたって漏水に気づかず手遅れになることもあり得ます。

このように漏水が電気機器であるサーバ類に故障を引き起こす危険があるのはもちろんですが、もっと怖いのは漏電です。漏電による故障だけですでに大問題ですが、それ以上に深刻な事故である火災を引き起こす危険をはらんでいます。

床置き型のエアコンからの漏水でも床下の電気配線に被害をもたらす可能性がありますが、天井埋込やダクト型、天吊型の場合、部屋の広さと設置スペースの都合でラックの真上あたりに吸込・吹出口を配置した場合、漏れた水滴がラック内にあるサーバなどの機械に降りかかる危険を抱えることになります。このような配置を避けられない場合は、エアコンの下に漏水を受け止めるドレンパンというお皿の設置が必須です。また、ドレンパンに溜まった水が溢れないように、排水経路を設けることや、パンに溜まった水が溢れる前に適切な対処ができるように、警報機の設置も考慮したほうがいいでしょう。

エアコンの漏水対策で漏水対策と漏電の危険の話になったので、次回は消防についても考えてみたいと思います。

2015年5月

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※ 過去の古川恒郎のコラム 【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】はこちらからご覧いただけます。