2015年9月24日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~システム企画の手順と方法(各ステップの内容②)~

システム企画の全体像=システム化構想とその具体化

1.目的及びシステム化範囲の明確化と共有

2.概要計画の作成

3.調達フェースへの橋渡し

1.目的及びシステム化範囲の明確化と共有 ※前回からの続きとなります

前回(2015/8/10)の最後に「システム企画は、顧客に対する提供価値が創造され、顧客満足度が向上するものでなければ、経営戦略実行上の意義は大きなものとなりません」として、システム企画の始動原理は顧客価値創造であることを述べました。これは、先によいシステム企画の条件として挙げた「戦略の実現を助けるものであること」と大きく関連しています。

「企業は社会の公器である」という言葉があります。これは企業が社会の中である役割を持つものとして、存在を許されているという考えからきています。その役割とは、社会が必要とする財やサービスを提供し続けること、社会に対して価値を提供することです。

したがって、企業が掲げる理念やビジョン、ミッションは、何らかの形で社会や顧客との関わりを表したものとなります。

価値の提供を受けた者が、対価を支払う動機を持つためには被提供者が満足していることが大きな要素としてあり、満足度の程度と対価の支払い動機の強さ、支払い金額の大きさには正の相対関係があると考えられます。経営資源を使って顧客に対する価値の提供を行い、顧客満足度を通じて得られる収入との差額として発生する利益を再投資することで、企業にとって活動継続が可能となります。

上記のことはすべての企業に当てはまる共通原則であり、企業のすべての活動は本質的に顧客価値創造につながっていなければならないということが言えます。

理念からシステム企画までの関係は、企業が掲げる理念やビジョン、ミッションは、社会における企業の存在意義を表したもの。それらを基盤として環境変化に対応していくための「経営目標」やそれを達成するための「戦略」は、顧客価値創造につながるもの。

システム企画は、その戦略の実現を助けるものとなります。

顧客価値の代表的な類型を見てみましょう。

トレーシーとウィアセーマが著した「ナンバーワン企業の法則」(※1)には、「顧客に提供する価値基準として、3つの望ましいものがあり、成功した企業は、自社の強みを考慮して、3つの価値基準の中から1つ選び、それを追求している」ということが書かれています。その3つは以下のものです。

● オペレーショナルエクセレンス(業務における卓越性)

● プロダクトリーダーシップ (製品の先進性)

● カスタマーインティマシー (顧客との親密性)

システム企画の動機として、非常に単純化すると「売りたい」「支出や負荷を減らしたい」という表現になるものがあるとしても、それらが「顧客価値創造」につながるものであるかどうかが重要です。

次回は、これらの価値を創造・提供していくためのIT活用の例をシステム企画の面から見ていきます。

(※1)「ナンバーワン企業の法則」

Michael Treacy, Fred Wiersema,“The Discipline of Market Leaders: Choose Your Customers, Narrow Your Focus, Dominate Your Market”, 1995

2015年9月

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※ 関連コラム 【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】 「システム企画の手順と方法(各ステップの内容①)」 (2015年8月10日)

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】 「システム企画の手順と方法(各ステップの内容③)」 (2015年11月2日)