2021年913

【失敗しないシステム導入】

ベンダとの相性とは?~


プロジェクトの成否を左右する要素の一つとして、発注側とベンダの相性があります。あるお客様で評判の良かったプロジェクトチームが、別のお客様の同様のプロジェクトで結果を残せず、評価が悪かったということがありました。ベンダのメンバーや進め方はほぼ同じなのに、発注者によって、かたや「コミュニケーションが良く、素晴らしいチームだった」、かたや「コミュニケーションが取れず、いまいちのチームだった」というように評価が分かれることがあります。なぜこのようなことが起きるのでしょうか。発注側とベンダの相性が一因と考えます。

人間と人間のことなのでどうしても合う、合わないといった相性がでてきます。ただ、漠然と相性というと対策が打てませんので、もう少し具体的にみていきましょう。

会社の文化

一つ目は、会社の文化です。ある程度品質には目をつぶってスピード重視で進めながら改良していくのか、それともスピードを犠牲にしても品質を最重要視するのか。トップダウンで進めるのか、ボトムアップで進めるのか。プロジェクトを進めるにあたってこのような文化の違いが軋轢を生みます。プロジェクトを成功させるためには、発注側とベンダが一蓮托生で進んでいかなければなりません。このためには会社の文化が似ている、もしくは相手に合せられる柔軟性を持っていることが重要です。

担当者間のコミュニケーションスタイル

二つ目は、担当者間のコミュニケーションスタイルです。一番やり取りが多いのは発注側のリーダとベンダ側のリーダでしょう。結論先行で根拠は後から述べるのか、根拠を積み上げていって最後に結論を述べるのか。コミュニケーションスタイルの違いはストレスになり、積み重なると円滑なコミュニケーションを取れなくなります。その結果、正確な情報共有、意思決定ができなくなります。プロジェクトを成功させるためには、発注側とベンダ側のリーダが密にコミュニケーションを取らなければなりません。このためにはコミュニケーションスタイルが似ている、もしくは相手に合せられる柔軟性を持っていることが重要です。


このような会社文化、コミュニケーションスタイルといった相性のズレを避けるためには、発注側としてはベンダ選定におけるやり取りの中で、相手の会社の文化やリーダのコミュニケーションスタイルを見極める必要があります。このためにもベンダ選定におけるやり取りは発注側、ベンダ側のリーダが行うべきです。このコラムでも繰り返し述べていますが、提案のプレゼンテーションはベンダ側のリーダにメインスピーカーをお願いすべきですし、質問は発注側のリーダが行うべきです。

ベンダ選定プロセスの中で、お互いにこの人と一緒にプロジェクトをやりたいと思えるような相手であれば、プロジェクトの成功率は高まるでしょう。

2021年9月