2016年2月1日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~システム企画の手順と方法(指標と目標値の設定①)~

バランススコアカードの重要な考え方として「あなたが測定するものが、あなたが得るものだ」「測定しないものは失われる」というものがあります。測定指標を設定することが、結果を得るために必要不可欠であるということです。

指標には、結果指標であるKGI(Key Goal Indicator)と活動指標であるKPI(Key Performance Indicator)とがあります。重要なことは、KPIとその目標値まで定めることです。KPIは「行為を促し、行為の結果を測る指標」として働きます。「行為を促し、行為の結果を測る指標」を定めずに目標だけを掲げても、目標達成に効果のある行為がなされるとは限りません。

たとえば、「売上増大」という目標の達成度は「売上高」という指標(KGI)で測定できますが、これだけでは売上を増大させるために、具体的に何をしたら効果が上がるのかはみえません。増大分の売上をどこから得るのか、たとえば、新規顧客創出なのか、既存顧客からのリピート受注なのか、客単価向上なのか・・・と考えていき、選択した対象に応じた測定指標(KPI)を設定することによって、具体的なアクションプランの作成が可能となります。

適切な測定指標を考える方法の一つとして「SMART」を取り上げてみます。「SMART」は1981年にドーランによって提唱された測定指標及び目標値の設定手法です。(George T. Doran, "There's a S.M.A.R.T. Way to Write Management's Goals and Objectives", 1981, Washington Water Power Company)

「SMART」では、指標と目標値の持つべき性質を以下のとおりとしています。

S(Specific): 具体的であること ・・・ 指標の意味が具体的に理解できること、活動項目が具体的にみえることが行為を促します。

M(Measurable): 測定可能であること ・・・ 測定できる形(測定方法、算出方法)になっていること。測定可能でなければ評価が行えません。

A(Achievable): 達成可能であること ・・・ 「行為を促すもの」たり得るためには達成可能であることが適切であり、組織においては「A=Agreed(合意された)」でもある必要があります。極端な例ですが、地球の総人口より多い顧客数や、総通貨量より多い売上高は達成不可能で、行為を妨げるものとなります。

R(Relevant): 目標達成に向けて意味があること ・・・ 当然のことですが、上位目標の達成に関係があり、効果があるものでなくてはなりません。relevantに否定接頭辞をつけるとirrelevant(見当違いの)となります。

T(Time-based): 達成期限が明確であること ・・・ 「いつまでに達成するのか」「いつ測定するのか」を決めることにより担当者のコミットメントを高め、測定結果の揺らぎを防ぎます。

2016年2月