202434

【目指せ!AWS認定マスター】

~第回 リージョンとアベイラビリティゾーン


今回からはAWSを理解するうえで必要な概念について解説を進めていこうと思います。最初のテーマはリージョンとアベイラビリティゾーンです。

リージョンとアベイラビリティゾーンの概略

私たちがAWSを利用しWebサービスを運用する際、全てインターネットを通じてオンラインでサーバーの構築や管理ができるので、実際のサーバーを見ることはなく、雲の上にでもあるかのように感じてしまいます。しかし実際のAWSのサービスは世界中に作られたデータセンター―群の上で稼働しており、このようなデータセンター群は2024年3月現在で33か所の国と地域に存在しています。これら一つ一つをAWSでは「リージョン(Region)」と呼びます。

 

日本国内には現在、東京リージョンと大阪リージョンの二つが存在しています。またそれぞれのリージョンもいくつかのデータセンター群で分けられており、これらを「アベイラビリティゾーン(Availability Zone)」(以下AZ)と呼びます。サーバー自体は完全にAWSが管理しており、故障の対応はもちろんのこと、機器のアップデートやメンテナンスなども全て行っているので、私たちユーザーは不自由なく利用することが可能です。


では、何故AWSは世界各国にリージョンとAZを用意しているのでしょうか?これには大きく二つの理由があります。

〇 可用性と冗長化

AWS認定試験にもよく出てくるワードが「可用性」と「冗長化」です。リージョンとAZの存在理由にはこの二つが大きく関係します。

 

まず「可用性」ですがこれはシステムが継続して稼働できる能力を指します。サーバーが落ちてサービスが利用できないといった状況を目にすることもあると思いますが、こういった状況が多いと「可用性が低い」という言い方をします。サービスを運用する際はいかに可用性を高く維持できるかが重要な課題となります。

 

この可用性を上げる一つの仕組みが「冗長化」です。冗長化とはサービスを停止させる要因となる機器の故障や突発的なアクセス集中などによる負荷急増があってもサービスを停止させないように、予備設備の準備とシームレスなサーバーの切り替え、増加を行うことを指します。

AWSでは特に機器故障のリスク管理をリージョンとAZを複数用意することで担保しています。リージョンは地理的に完全に異なる場所に建造されているので、災害や戦争といった地理的な問題により一つのリージョンが利用不可となっても、他の地域のリージョンにてサービスが継続できます。

 

AZはリージョンの中で、電源やネットワークが完全に分離されるように建造されたデータセンター群です。万が一停電やネットワークの断線が起こっても、異なるAZには影響がないように設計されています。リージョンやAZに不具合が起きたときにシームレスに切り替えできる仕組みも提供されてるので、これらをうまく利用することで高い可用性を実現することができます。

 

〇 通信の遅延軽減

リージョンとAZは通信速度の観点からも大きな存在理由があります。

 

私たちユーザーがWebサービスを利用する際、多くのサーバーアクセスが発生しています。こういった場合に物理的に距離の近いリージョンへアクセスすることで通信の遅延を少なくすることができ、快適にサービス利用ができます。また一つのリージョンやAZにアクセスが集中していた場合、別リージョンやAZに通信先を変えたり、分散したりすることでも遅延を少なくすることができます。

 

これらの理由からAWSはリージョンとAZを現在も増やしており、ユーザーもこの仕組みを利用することで、安心して快適なサービス提供を実現できるようになっています。

 

AWS認定試験では各サービス上でリージョンとAZの設定に関する問題が多くあり、どのような設定をすると効果的にリージョンとAZの恩恵を受けられるかを理解しておく必要があります。

 

2024年3月