2024年513

【目指せ!AWS認定マスター】

~第回 スケーリングとは


今回もAWSサービスを理解する上で必要な概念について解説を進めていきます。

2つ目のテーマはスケーリングです。

スケーリングの概念

AWSなどのクラウドインフラがない時代、オンプレミスでサーバーを構築する際はそのサーバーにどれだけのアクセスが発生し、どれだけの性能が必要なのかを見積もる作業はとても重要でした。何故なら見積もりが低すぎるとアクセス数に耐え切れずサーバーが落ちてしまいますし、高すぎると高コストになってしまうからです。さらに一度購入した機器は増やすも減らすも大変なコストがかかります。しかしAWSはその悩みを無くしてしまったと言っても過言ではありません。

 

その大きな理由が、クラウドインフラの柔軟さと潤沢なスケーリング機能です。スケーリングとはサーバースペックの増減(スケールアップ・スケールダウン)、サーバー台数の増減(スケールアウト・スケールイン)を行うことを指します。AWSではブラウザ上の簡単な操作だけでこのスケーリングを実現することができます。クラウドインフラの特徴である機器を購入する必要がないこと、AWSの課金体系が利用した時間や通信量にだけかかることから、気軽にサーバーを追加してみてダメならすぐに削除するといったオンプレミスでは考えられないことが可能になりました。更にAWSではこのスケーリングをプログラムして自動化する機能も潤沢に存在します。

 

オートスケーリング(Auto Scaling)

AWSのスケーリング管理において最も重要なのがオートスケーリング(Auto Scaling)という機能です。これは文字通りスケーリングを自動化する機能です。AWSではサーバーの状態を常に監視しており、これを管理ユーザーは様々なパラメーターで確認することができます。オートスケーリングの機能ではこのパラメーターを利用して設定をプログラムすることで自動化を実現しています。

 

例えばサーバーは時間帯や時期によってアクセス数が増減します。そこでCPUの使用率というパラメーターを見て、80%を超えたらサーバー台数を1台増やす、30%を下回ったら台数を減らすといったように設定します。こうすることで管理ユーザーの手を使わずに最適なスペックに保つことができるようになります。このようにスケーリングはうまくプログラムすることで、常に最適なサーバーの状態を保つことができるようになります。

 

こう見るとオンプレミスの時代と考え方や求められる作業が大きく異なることがわかります。オンプレミス時代は機器を購入してしまうと変更できないためサーバースペックの見積もりが重要とされましたが、AWSではとりあえずサーバーを追加して後から最適化することができるようになりました。また、オンプレミス時代ではなかったスケーリングのプログラムという作業がAWSでは新しくできるようになり、スケーリングはインフラエンジニアとしてはもしかすると一番大きく変化したトピックなのかもしれません。

 

2024年5月