2020年4月21日

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません

~テレワークあれこれ(1)~


前回(2020/2/25)このコラムを書いていたころは、新型コロナウィルスCOVID-19の騒ぎはまだ最初のイベント中止・縮小要請が出される前でした。自分を含めほとんどの人は、心配はしてもそれでも我が身に降りかかる可能性を真剣に考えるほどのことではないだろうと高を括っていたように思います。それがわずかひと月もしないうちに、自粛・休校・休業・閉鎖といった言葉が当たり前に飛び交う状況になっています。これに伴い、VPNその他の技術を利用したテレワークなんて自分の会社に導入することを想像もしたことがない会社が一気にテレワーク導入に走り始めています。

既にVPNなどの環境を用意していたところでも、ごく一部の人がしかたなく使用する補助的な技術という位置づけで、まさかほぼ全員が利用するような事態は想定していません。そのため、ルーターその他ゲイトウェイ機器で対応可能な接続数ではとても足りない、足りても接続回線の帯域が不足しているため、接続できたとしても応答速度が甚だしく遅くてストレスが溜まるだけで仕事がはかどらないという笑い話のような事態も起きているようです。

また、それなりのVPNサーバー機器を備えたルーターになると量販店で普通に並んでいる製品よりも値段の張るものですが、一挙に需要が増えたようで品薄になっている機器もあるようです。それでも手に入るだけましで、VPN同様に一挙に普及し始めたWEB会議で使用する会議用の一体型マイクスピーカーやWEBカメラなどは安価なものから値の張るものまでほとんど流通在庫が払底しているようで、見積依頼をしてもことごとく納期未定のものばかりでした。

私が担当するお客様でも同様で、急遽VPNやビデオ会議を導入したいという相談が増えています。ルーターについては以前から新設やリプレースの機会に、その時点で使用する予定がなくともL2TP/IPsecのVPN機能を備えた製品を薦めていたので、慌ててルーターを新規調達・リプレースせずとも稼働中のルーターの設定を追加するだけで済んでいます。

WEB会議についてはノートパソコンやiPhone、iPadその他スマートフォンやタブレットであればほとんどのモデルでカメラとマイクが付いているので、大画面のモニタとWEBカメラ・マイクスピーカーが調達できないから開催できないわけではありません。こういった機器にこだわらずに参加者それぞれが自分の端末で参加するのが手っ取り早いでしょう。その際、それぞれの端末は個別にヘッドセットなりスマートフォンに付属する通話機能付きのヘッドフォンを接続して使うことをお勧めします。端末の内蔵マイクとスピーカーを使用する場合は、各端末のスピーカーから出た音声を各マイクが拾いあってハウリングを引き起こしてしまい収拾がつかなくなる危険があるので注意が必要です。

2020年4月

▶関連コラム|テレワークあれこれ(2)(2020/6/15)