2022年822

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

地域社会のDXその3 龍馬パスポートのDXを考える


このコラムでは2021年9月28日(地域社会にもDXの機運が出てきた)2021年12月20日(地域社会のDXその2 高知がますます熱くなってきた)で、高知ニュービジネス協議会(KNBC)のDXの活動を取り上げてきました。このKNBCの活動はずっと継続していて、定期的にオンラインとリアルを組み合わせて勉強会を開催しています。2022年の8月某日、「龍馬パスポートを題材・事例としてDXを考える」というテーマで勉強会が開かれました。この会は講師による題材・事例紹介の後に参加者から意見をどんどん出してもらうディスカッション形式で行われました。

今回の題材となった「龍馬パスポート」ですが、簡単に言うと高知県の観光促進を目的としたアイテムです。高知県の主な観光施設で提示するだけで特典が受けられる仕組みです。この龍馬パスポートは観光施設を利用したり、道の駅で買い物をすると、パスポートにスタンプを押してもらい、スタンプを集めていくといういわゆるスタンプラリー形式ですが、大きな特徴があります。それは、スタンプをたくさん集めるとパスポートがランクアップするゲーム性があることです。ランクは青→赤→ブロンズ→シルバー→ゴールドと上がっていき、ランクアップすると宿泊券などの商品がもらえます。

龍馬パスポートは2012年に始まり、現在約25万人の会員がいます。似たような観光施策は他の自治体でも行われてますが、龍馬パスポートは最も成功しているケースといってもよいでしょう。10年前に高知県の観光促進にX=トランスフォーメーションを起こしたのです。しかし、開始から10年経ち大きな課題にぶつかっていることも確かです。その課題とはD=デジタル化です。この10年で外部環境が大きく変わりました。なんといってもスマホの普及です。新しいサービスはスマホ利用を中心に考えられるようになりました。龍馬パスポートはアナログのスタンプ帳です。もちろん、アナログの良さもあるので、この先どうやってデジタル化しつつ、アナログの長所も活かしていくかが大きなテーマとなります。アナログのままでは有効なデータが取れません。データがなければマーケティングに利用することができず、新たな観光需要の掘り起こしなど、さらなるX=トランスフォーメーションを起こすのが難しいのです。高知県にとって観光促進は非常に重要です。それは単なる観光収入を増やすことではなく、雇用機会の拡大につながります。県内に良好な仕事が増えることはUターン・Iターンといった少子高齢化対策にも結び付きます。

龍馬パスポートがうまくデジタル化できるかどうかは、高知に大きなインパクトがあるのです。だから地元高知の将来を考える中小企業の社長さん達が熱く議論するのです。その様は幕末の坂本龍馬や武市半平太などの志士達と同じなんだろうと思います。

2022月8月