2015年2月2日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~気をつけよう!社長と社員の目線の違い~

社長が自ら先頭に立って経営改革の一環として、IT化を推進することは素晴らしいことです。なぜならば、企業において社長以上に強力な推進エンジンはいないからです。企業の改革が成功するかどうかは推進エンジンの強力さと、進む方向がきちんと決まっているかの2つの要素に強く依存します。

強力な推進エンジンを持つ社長がしばしば陥ってしまう失敗があります。それは社長が決めた「進む方向」をうまく社員に伝えることができず、社長と社員が一体化となって同じ方向を目指すことができないことです。この失敗の原因は社長と社員では物事に対する目線が異なることが一番大きいのです。

その視点の違いはどこから生じるのか?それは、

● 社長は会社全体を俯瞰的に見ますが、社員は自分の仕事や部署を中心に見ています。

● 社長は他社の経営者や外部のコンサルタント等と話をする機会があります。経営者の集まる商工会、業界団体、異業種交流会などに参加することでその機会がしばしばあります。しかし、通常、社員にはそのような機会はほぼありません。

● 地方企業の場合、社長は結構な頻度で東京に出張します。そこで新しい情報や状況を直接見たり、聞いたりします。社員はどうでしょうか?東京の顧客を担当する営業マン以外はほぼ出張の機会はないはずです。

おわかりでしょうか?例えば新潟市内に本社がある会社であれば、社長は半径300キロ(東京までの距離)、営業マンは半径15キロ(得意先のある範囲)、社内スタッフは半径5メートル(自部門だけ)の視点で物事を考えるクセがついてしまっています。それを理解せずに、きちんと説明もせずに、いきなりトップダウンでIT化を進めても社員達は「社長の道楽がまた始まった」程度にとらえ、表面上はハイハイと従っても、IT化の目的や意味を理解して行動していなければ、それは効果の少ない無駄な動きでしかありません。

社長が先頭で旗振り役になってIT化を進めても効果がなかなかでない。すると社長は「ウチの社員がバカばっかりで、ダメだ」と愚痴の1つも言いたくなります。しかし、うまくいかない原因が社員がバカなのではなく、社長がきちんと社員に説明できずにベクトルを1つにできていないことだとすれば、社員をなじっても何も問題は解決しません。IT化で経営改革を進めるには、まずは「右腕」となる幹部から、そして次はIT化に興味や期待を持っている若手社員、といったように社長の考えに賛同する社員を順次増やしていくことにも留意する必要があります。

2015年2月