2016年8月1日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~システム企画の手順と方法(概要計画の作成①)~

システム企画の3つのステップの「2.概要計画の作成」に入ります。

2.概要計画の作成

概要計画について、以前(2014/11/10)に記した内容を再掲します。

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経営戦略・事業戦略の実現を助けるために、システムが必要になる時期を最終目標として、システムの構築順序から業務の移行、教育、訓練といったものをすべて踏まえ、全体的な開発のスケジュールを組みます。

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これをさらに分解してみると、範囲の大きな順に以下の2つの計画があるということになります。

① 全体計画:長期的にみて、全社で必要となるITシステムの開発計画(スケジュール)

② 個別システム計画:個別の各システムの開発計画(スケジュール)

①全体計画

これは、全社的なIT環境の構築・刷新を目指す場合の全体計画(IT戦略、全社ロードマップ)のレベルです。全体計画作成の際には、組織の変化のステップを可視化することが有効です。これは、これから先のどの時期に、組織がどのような状態になっている必要があるかを考え、そのために必要なIT環境を実現するシステムの開発を構想する方法です。

たとえば、ナイキ(Nike,Inc.)がかつて掲げていたミッションステートメント「アディダスをやっつける(Crush Adidas)」を目指すうえでは、商品企画、製造、在庫、流通、市場開拓、広報・宣伝、販売、原価、会計、人材・・・とあらゆる分野において、組織が段階的に状態を変化させていく必要があります。これらの分野について、それぞれの時期に組織がどのような状態になっているか(どのようなことができるようになっているか)を想定し、その状態で行われているであろう業務とそれを支えるIT環境の構築を考えて、全社規模の長期的なスケジュールを作成します。

ナイキは1960年代前半に活動を始め(公式な会社創立は1968年)、上記のミッションを掲げました。そして、1980年代には実際に売上高でアディダスを凌駕する企業に成長します。この過程でナイキが組織として到達すべき状態のうちいくつかを挙げると、以下のようなものです。

◆ アディダスより魅力的な製品の

→開発が可能な状態

→製造が可能な状態

→販路が開拓された状態

→販路への供給が可能な状態

◆ナイキというブランドが

→顧客に認知された状態

これらを、その時に必要となる情報システムとともにスケジュールにマッピングしたものが、システム開発の全体計画(全社ロードマップ)となります。

次回は全体計画の中の各システムの企画時に作成するスケジュール「②個別システム計画」について記します。

2016年8月