2017年5月29日

【失敗しないシステム導入】

~コミュニケーションスキルを評価できる簡単な質問とは?~

以前のコラム「プレゼンテーションで何を評価すべき?」(2015/3/23)で、提案評価におけるプレゼンテーションの目的のひとつに、プロジェクトリーダの面接があることを説明しました。そして、面接の際の評価の視点の一つとして、「プロジェクトリーダのコミュニケーションスキル」をあげました。今回は、プロジェクトリーダのコミュニケーションスキルを評価するための簡単な質問をご紹介したいと思います。開発プロジェクトの規模や内容に依らずに使えるので、覚えておくととても便利です。

その質問とは、プレゼンテーションの中に出てきた専門用語、例えば、“RFI”などの略語について、知らない振りをして、敢えてその意味を聞いてみるということです。ここで、その意味を答えられないプロジェクトリーダは論外です。意味を理解せずに、もしくは説明できずに専門用語を使っているのはコミュニケーションスキル以前の問題です。このような人にプロジェクトを任せるのはリスクが高すぎます。

一方で「そんなことも知らないのか」と言わんばかりの顔をしたり、困ったような顔をしたりするプロジェクトリーダが少なくありません。このような人に限って、さらに専門用語を使って、非常にわかりづらい説明をします。このような受け答えをする人は、コミュニケーションの品質は、受け手がどう受け取ったかで決まるという原則を理解できていない人です。受け手が理解できていないのであれば、出し手が間違っていたということです。キャッチボールに例えると、受け取る側のレベルに応じて、投げる側が取りやすいボールを投げなければなりません。自分の基準でボールを投げ、取れなかったら、受け取る側のせいにするようなことはいけません。また、常にわかりやすい言葉で説明することを心掛けていれば、専門用語を別の専門用語を使って説明するといったことは起こらないはずです。

システム開発プロジェクトでは、ベンダとユーザが直接、コミュニケーションすることが多々発生します。このような時に、相手の理解度を踏まえて、わかりやすい言葉でコミュニケーションできるかどうかが、プロジェクトの生産性、品質に大きく影響してきます。必要のない場面で、難しい専門用語を使って、コミュニケーションのロス、ミスを招くのは全く無意味です。

では、どのような受け答えが望まれるのでしょうか。専門用語を説明無しに使ってしまったことを詫びて、さらにその意味をわかりやすく説明できれば、合格と言えるでしょう。少し意地悪な質問ではありますが、このようにプレゼンテーションで出てきた専門用語について、あえて質問してみることで、プロジェクトリーダのコミュニケーションスキルを簡単に評価することができます。

2017年5月