2023216

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】

Type CのACアダプタ

以前も書いたことがありますが、持ち歩き可能な電子機器・・・パソコンやスマートフォン、各種周辺機器・・・でバッテリーを内蔵したものには現在ほぼ間違いなくリチウムイオン式(Li-ion)の充電池が内蔵されています。リチウムイオン以前のニッカド(NI-cd)やニッケル水素(Ni-MH)に比べると蓄電容量が大きく長時間用途に向いていて、このタイプの電池のおかげで朝の外出前にフル充電の状態にしておけば、帰宅まで電池残量を気にせずに各種の機器を持ち歩くことが可能になりました。 

もちろん経年劣化で最大蓄電容量は減っていくため、機器の用途や使用時間によって充電用のACアダプタも一緒に持ち歩いていないと不安が残る場合もあります。このACアダプタのサイズが思いの外に問題でした。持ち歩く機器のサイズは年々薄く軽くなっていますが、必要とする電力容量に応じてACアダプタのサイズは大きく重くなっていく傾向があり、パソコンが1kg前後の薄型軽量になってバッグの隙間に入るのに、ACアダプタのサイズが文庫本や新書本程度で重量も200g前後あり、加えてACケーブルは束ねると握り拳よりもかさばってかなりの容積が必要になります。多少の劣化があってもフル充電で朝から晩まで不安なく使えればACアダプタの持ち歩きは不要ですが、なかなかそうはいかないため、収納スペースとしてはパソコンがACアダプタのおまけのような主客逆転した状態が日常でした。 

その後、給電能力が大幅に向上したUSB Type Cを採用して電源ケーブルを細いType Cケーブルに変えることが可能になり、給電可能なType Cポートを装備したパソコンであれば従来タイプのACアダプタの代わりにType CのACアダプタを採用することで、まず電源ケーブルの容積を大幅に減らすことができるようになりました。当初はケーブルが細くなっただけでACアダプタ本体のサイズはそのままでしたがACアダプタに窒化ガリウム(GaN)が採用されるとACアダプタ本体サイズが劇的に小さくできるようになりました。

 

電源コンセントから受けた100Vの交流をパソコン側で必要な電圧の直流に変換するACアダプタ自体は、かつての単純な電圧コイルと整流器の組み合わせリニア電源から、半導体を活用したスイッチング電源に切り替わった際にかなりサイズが小さくなりましたが、スイッチング電源への切り替え以降はパソコン自体のパーツの高性能化や集積化に伴う薄型化・軽量化に比べるとサイズについては大した変化は起きず、大きくて重い状態がつい最近まで続いていました。しかし、数年前に窒化ガリウム(GaN)の採用で重量が半分、体積は半分以下のサイズで給電力は同等の製品がでてきたことで、ようやっとACアダプタとケーブルが持ち歩きの負担にならないサイズで利用できるようになりました。

 

ただし、パワーデリバリーに対応したUSB Type Cポートが備わっているパソコンでもメーカーが標準提供する純正品は従来タイプのACアダプタで、Type CのACアダプタはオプション品であったり、そもそも純正品が提供されていない場合や内部的にはType Cを採用していても、コネクタ形状が特殊で互換性がない場合もあるので自前で用意しなければならないこともありますが、規格に則っていればメーカー純正品以外でも目的にあった製品で選択が可能です。

 

また、従来のACアダプタの場合、メーカーごとプラグの形状が異なったり同じメーカーでも機種によって形状が異なるなど、給電能力が同じでも互換性がないことが多くて使い回しができないことが当たり前でした。Type Cであれば、給電能力がパソコンの仕様にあっていればアダプタ側がオーバースペックのものでもパソコンが必要な電力を供給できて使い回しができることに加え、パソコン以外の周辺機器でも使用できるので予備としても持っていれば無駄にならなでしょう。

 

2023年2月