2018年12月10日

【失敗しないシステム導入】

~“いつまでにできるか”がいつまでにわかるか?~

発注者とベンダ担当者との間で以下のような会話がなされることがあります。

発注者 │ いつまでにできますか?

ベンダ担当者 │ 現時点ではわからないので、わかり次第ご連絡します。

発注者 │ そうですか。それではよろしくお願いします。

これではスケジュールが決まっておらず、スケジュールがいつまでに決まるのかも決まっていませんので、プロジェクトマネジメント上、非常にまずい状況になります。スケジュールが決まらないまま時間だけが過ぎ、気が付いた時には手遅れで、プロジェクト全体のスケジュールの見直し、納期遅延を引き起こし兼ねません。このような場合、「“いつまでにできるか”がいつまでにわかりますか?今週の金曜日ではどうでしょうか?それでは今週の金曜日までにいつまでにできるかをご提示ください」と口をはさみます。スケジュールが決まっていない状況では、いつまでにスケジュールを決めるのかを明確にすることが重要です。

そもそも優秀なベンダ担当者であれば「わかり次第、ご連絡します」とは言わず、「現時点でスケジュールは提示できないのですが、〇月〇日までにスケジュールを提示します」と言うはずです。このような場合の言動にベンダ担当者のスケジュール遵守に対する意識の差が如実に現れます。この視点はベンダ選定の際に、プロジェクトリーダの資質を評価するのにも参考になります。RFP発行~提案書受領~プレゼンテーションにおいて、冒頭のような会話が発生した場合、どのような受け答えをするかで、プロジェクトリーダのスケジュール遵守に対する意識を知ることができます。

“いつまでにできるか”がいつまでにわかるか?」を常に意識し、「わかり次第ご連絡します」を看過しないことがプロジェクト成功のポイントになります。

ところで、「“いつまでにできるか”がいつまでにわかるか?」という概念は非常に重要なのですが、この概念を表す用語を私は知りません。スケジュールオブスケジュールという表現を聞いたことがあるのですが、「スケジュールオブスケジュール」でキーワード検索しても出てきませんので、一般的ではないのかもしれません。

読者の中に、「“いつまでにできるか”がいつまでにわかるか?」という概念を表す用語をご存知の方がいらっしゃれば、是非ご一報いただければと思います。

2018年12月