2018年5月28日

【失敗しないシステム導入】

~システム企画書を見直していますか?~

システム導入プロジェクトの立ち上げにおいては、まず初めにシステム企画書を作成します。システム企画書は以下の項目を含みます。

● プロジェクトの目的

● 達成目標

● 前提条件と制約条件

● 課題と対応策

● リスクと対応方針

● スケジュール(マイルストーンを含む)

● 予算

● 体制図

このシステム企画書をもとにRFPを作成し、ベンダはRFPをもとに提案書を作成します。発注者は提案書を比較し、ベンダを選定します。発注者とベンダは契約内容を詰め、プロジェクトを立ち上げます。

システム導入プロジェクト開始後、問題が発生し、何らかの意思決定をしなければならない場合、システム企画書に立ち返ることがあります。「プロジェクトで達成しなければならない目標は何で、マイルストーンはいつなのか、そのためには何をすればよいか」といった具合です。ただし、システム企画書を作成してから随分と時間が経っているので内容がプロジェクトの実態とずれており、意思決定に使えないことが多くあります。例えば、以下のような事象により、システム企画書の内容が実態と乖離します。

・予算を遵守するためにシステム化範囲を絞ったため、達成目標自体が変わった。

・外部環境が変わり、前提条件と制約条件が変わった。

・時間が経過する中で、一部の課題は別プロジェクトによって解決された。

・プロジェクトの立ち上げに時間がかかり、スケジュールが後ろ倒しになった。

・システム企画時点では体制図に名前を入れられず、空欄であった。

・体制図に記載されていたメンバが異動した。

システム企画書の内容を実態と合わせるために、プロジェクト開始前に最新の状況を踏まえて、システム企画書を見直すことが必要になります。一刻も早く、プロジェクトを立ち上げ、進めたいという状況ですが、急がば回れでシステム企画書を見直しておくことがプロジェクトの成功につながります。

最新化されたシステム企画書をプロジェクト憲章(プロジェクトチャーター)と呼ぶことがあります。文字通り、憲章ですので、プロジェクトに問題が発生した場合には、プロジェクトメンバはこの憲章に立ち返って意思決定をします。プロジェクトメンバ全員が憲章の内容を理解していなければなりません。プロジェクトマネージャは、プロジェクトのキックオフでプロジェクトメンバに対して憲章の内容を説明し、共有します。プロジェクトメンバ全員が共通意識を持ってプロジェクトを進められるので、「プロジェクトの目的に合わない不要な作業に時間をかける」といったことを防止できます。

憲章はプロジェクト開始後も常にブラッシュアップされます。プロジェクトマネージャは、憲章が実態と乖離していないか、憲章の内容に沿ってプロジェクトが進んでいるかを常に意識しておく必要があります。

2018年5月