2023年87

【飛び込んでみよう!】

~ドローンの姿勢制御システム~


ドローンに対するセキュリティ、アンチドローンシステムについて前回(2023/6/5)お話ししましたが、ではそもそもドローンはどのような仕組みで安定した飛行を実現しているのでしょうか。

ドローンの安定飛行に不可欠なのは、機体の姿勢制御とGPSであり、姿勢制御を行っているのはプロペラ(回転翼)とセンサーです。

 

ドローンは通常、機体に4、6、8枚といった複数のプロペラを搭載しており、それぞれを任意の速度や回転数で動かすことができます。ホバリング中、隣り合うプロペラを互いに逆方向(時計回り/逆時計回り)にすることでカウンタートルクを発生させる、つまり機体が回転しようとする力を相殺し、その位置に留まり続けることができます。逆に言うと、その相殺する力の一方の回転を緩めることで左右に機体を旋回させることができるわけです。

 

機体を前後左右に動かす場合もこれと同様で、動かしたい方向のプロペラの回転を遅くし、反対側の回転を速くすることで移動します。例えば4発のドローンを前進させる場合、前方2枚を遅く、後方2枚を早くするということになります。機体の上昇・下降のみの場合はシンプルで、すべてのプロペラの回転を速くすれば上昇、遅くすれば下降します。これは回転により上方向に揚力が発生しているためです。

 

プロペラの回転とならんで重要なのがセンサーです。

ひとつ目はジャイロセンサーで、角速度センサーとも呼ばれ、機体の傾きを検知するためのセンサーです。自身の移動や空中で風に煽られた際に機体がどのような状態にあるのを知ることができます。最近はスマホやテレビゲームのコントローラーにも搭載されています。


ふたつ目は加速度センター、機体のスピードの変化を検知します。ジャイロセンサーは傾きのみを検知するので、例えば風に煽られたたきの角度は分かりますが、移動させられていても判断できません。加速度センターを合わせることで傾きとスピード、両方の面から機体の水平を保つために必要なプロペラの回転を割り出すことができます。

 

ただし、適切なプロペラの回転数や速度を検知できても、その情報を人間が即時にすべて処理することは至難の業です。それを可能にするためドローンに搭載されているのが、フライトコントロールシステムです。このシステムが高性能であればあるほど、操縦者がコントロールせずとも、上空で風を受けるなどしてもドローンが自動的に自身を安定した状態でホバリングしてくれるのです。

 

2023年8月

【鶴田光樹のコラム】

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