2016年2月15日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~IT調達における社長の仕事~

社長の立場を表すたとえ話として「社長と副社長の距離と副社長と平社員の距離とでは、社長と副社長の距離の方がずっと遠い」というものがあります。これは、企業の最終決断者である社長の立場を明確に表しています。

社長と副社長は1階層しか違いません。一方で平社員と副社長の間には、主任、係長、課長、次長、部長、本部長、取締役、常務、専務と多くの階層があるかもしれません。それでも社長と副社長では立場がまったく異なるということです。それでは社長と他のポジションの一番の違いは何か、といえば社長は「決断」するのが仕事であるということです。日本の会社の場合、取締役会や営業会議など会議で議論されて会社の意思決定がなされる場合が多いですが、そのような合議の場であっても最後は社長の決断や決済が必要な場合は多いでしょう。

IT投資の場合は特に最後は社長の決断は重要になります。それはIT投資というのは調達段階ではなかなか投資対効果が見えにくいからです。工場の生産機械などの設備投資の場合は、いくらの投資で1年間にどれだけの製品が生産できるか、比較的試算が簡単です。製品の販売需要が十分に見込めるのであれば、生産設備にいくら投資してそれが何年で回収できるか、計算は簡単です。しかし、IT投資の場合はそれがなかなか簡単には試算できません。古いシステムを使い続けていて、維持管理費用や保守費用などのランニングコストが高額である場合、最新のシステムを導入することでランニングコストが大きく下がることが見込める場合などはわかりやすいですが、そのようなケースばかりではありません。

新規事業の運用のために必要なシステムにいくら費用をかけてよいのか?もちろん、社員やコンサルタントを用いて仮説を立て、試算することは必要です。しかし、あくまで仮説ベースなのでそれが数年後にその通りになるかどうかは誰も保証できません。だからこそ、社長が決断する必要があるのです。社長が正しい決断をするためには、日ごろから物事を俯瞰的に、長期的に、大局的に見ることが求められます。これは簡単なことではありません。だから社長は孤独だ、といわれることも多いです。でも企業のトップを務めるということはそういうことなのです。これは会社の大小には関係ありません。

2016年2月