2016年3月22日
【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】
~LAN配線徒然③~
移転先のネットワーク配線は、部屋割りや机の配置などレイアウトが固まってからの検討になります。サーバルームに中核となるスイッチを置き、ここからインターネットなど外部へのルータ、各種サーバ、オフィス内のPCその他の機器に対してネットワークケーブルを敷設します。オフィス内への配線を行う場合、中核となるスイッチからフロアに敷設されるケーブルの取り回しにはいくつかのオプションがあります。この中核となるスイッチをセンタースイッチとかコアスイッチと呼び、ネットワークの規模によっては数台のスイッチで構成することもありますが、以下ではコアスイッチとして進めます。
【サーバルーム】
センタースイッチからフロアに敷設するケーブルは直接スイッチのポートに接続するのが最も簡易なやり方ですが、ネットワークがある程度の規模の場合、コストはかかりますがフロアへのケーブルとスイッチの間にパッチパネルという機器をはさむことをお勧めしています。
サーバルームからフロアに向かうケーブルは結構な本数になり、このケーブルのかたまりをラックのふもとの床からどさっと立ち上げてそのままスイッチのポートに接続させると、設置した当初はそれほど気にならなくとも、後になってからメンテナンスその他のために接続ポートを変更するなどの作業を行うことになった時、ごちゃごちゃして作業しづらく、間違いを起こす元になりがちです。
設置する際にケーブルタイその他を使ってきれいにまとめておけばその時点ではスッキリしていますが、ポートの変更を行おうとするとやはり束ねたケーブルをほどくことになり、多少は楽になるにせよ、ごちゃごちゃしたケーブルをほぐす作業には変わりありません。立ち上げたケーブルを一旦パッチパネルで受け、コアスイッチとの接続はパッチパネルのスイッチ側で行うようにするとスッキリするし、ミスを防ぎやすくなります。
ラックに設置する機器の構成次第ではケーブルを繋ぐポートがラックの前だったり後ろだったりとケーブルが錯綜することが多いのに加え、ラックの背面の空間が広々していることは稀なので、できる限りスッキリさせておくに越したことはありません。
【オフィス内】
大抵のオフィスレイアウトではいくつかの机を部署などの単位でグループにして並べることが多いと思います。このグループを島と呼ぶことが一般的です。
1人にPCが1台は当たり前、ことによるとデスクトップにノートなど、1人が複数のPCを使用する場合もあるでしょうが、無線LANをメインにしていない限り、LANに接続して各種のサーバやインターネットへの接続を提供するためにはそれぞれの端末にLANケーブルが必要です。
サーバルームから島に引き回してきたケーブルの処理は、2パターンあります。
① 床埋め込みの情報コンセントかローゼットで受けてからケーブルを立ち上げる
② 直接立ち上げる
立ち上げたケーブルは、以下のいずれかで処理します。
> 直接クライアントに接続する
> 一旦スイッチで受けてスイッチから各クライアントに接続する
床に情報コンセントを埋め込むやり方は、オフィスができあがった時点ではスマートでスッキリしているので一見いいように見えますが、正直なところ個人的にはあまりお勧めしていません。後日のレイアウト変更が一切発生しないのであれば問題ありませんが、下手に床に埋め込んでしまった場合、ケーブルの位置が固定されているためレイアウトを変更する場合にコンセントの移設工事が発生してしまい、工期と費用の面で不利になるし、コンセントが設置されている位置を優先すればレイアウトの自由度が落ちてしまいます。
また、立ち上げたケーブルを直接クライアントに接続することになると、床下に敷設するケーブルの数が膨大になることに加え、やはりレイアウト変更の際に大規模な張替え工事が発生してしまいます。一旦スイッチで受けて島のクライアントと接続するやり方であれば、変更があった際の工事の手間を減らすことができるし、柔軟なレイアウトが可能になります。
かつてスイッチが一般的な機器なる以前は、ハブと呼ばれていた名残でいまだに島ハブという呼称が一般的ですが、島ハブを採用する場合、設置位置にも注意が必要です。往々にしてやってしまいがちなのが、島ハブを島の中央辺りに置いてしまうことです。中央に置いてしまうと、後日機器の交換が必要な場合であるとかケーブルの交換、スイッチの増設などの作業が必要になった時の機器へのアクセスで苦労することになります。機器にアクセスするために一旦位置を固定した机の移動が必要になったり、机を動かさずに済んだとしても、引き出しや机の下に置いた荷物を動かしたりと周囲の利用者への影響が出てしまいがちです。中央ではなく、端の辺りで後からアクセスしやすそうな場所に設置しておけばいざという時に大事にならずに済ませることができるでしょう。
2016年3月
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※ 関連コラム 【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】 「LAN配線徒然②)」 (2016年2月8日)